■当事者の想(おも)い
性的マイノリティ当事者の方に、インタビューしました。
□飛鳥斗亜さん
2001年生まれ。市内の高校、大学を卒業後、現在は、東京で働く。ゲイであることを公表し、県内外で支援や理解促進のために精力的に活動中。
―ご自身の性について意識したきっかけは?
小学生の時、男友達が話す恋愛の話についていけない自分がいて、「周りとは違う」ということに薄々気が付いていました。
確信に変わったのは、スマホを持ち、さまざまなことをインターネットで検索できるようになった中学生の時です。
―これまでの経験を教えてください。
中学生の時は、言動が中性的で女の子とばかり遊んでいた私は、いつしか男友達から距離を置かれ、いじめられるようになりました。周りから「おかま」「ホモ」と呼ばれたり、仲の良かった男友達でさえも口を聞いてくれなくなりました。
さらに、高校に進学する時には、駅で他校の生徒から「おかまの子だよね」と言われたこともありました。高校でも居場所がなく、担任の先生に相談すると、「どういった特別扱いをすればいいの?」と。悩みについて一緒に考えてほしかっただけなのに…私は何も言えませんでした。
―周囲の人の反応で嬉しかったことはありますか?
大学に入学し、友人との会話の中で、結婚や恋愛の話になりました。これまで避けてきた話題でしたが、友人が「パートナーとか一緒になりたい人はいないの?」と聞いてくれ、当たり前のように友人との会話の輪に入れたことが嬉しかったです。
―一人一人が持つ意識の中で大切だと思うことはありますか?
何気ない一言で、誰かを傷つけているかもしれないという意識を少しでも持つことが大切だと思います。性的マイノリティについて、テレビでは見たことがあるけど、身近な人にはいないから関係ないと思うのではなく、性的マイノリティとはどのようなものなのかを知ってほしいです。
□安藤さん
40代。トランスジェンダー。30代の時に、性別違和に関する診断を受け、治療のガイドラインに添い、女性から男性への性別適合手術に向け治療中。
―ご自身の性について意識したきっかけは?
幼稚園児の時には、自覚していました。男の子としか遊ばなかったり、女の子は赤、男の子は青といった色分けがとても嫌だったり。また、年長の時には、女の子が好きという感情が芽生えていました。
―これまでの経験を教えてください。
中学生、高校生の時は、制服でスカートを履かなければいけない、男らしく、女らしくしなさいという時代だったので、自分の性に違和感を感じつつも、共存していくしかないんだという思いで過ごしていました。周囲の人からは、「おなべ」「おとこおんな」などと言われることもありました。
20歳くらいの時、インターネットが普及し、性のあり方が男性・女性の2通りではないことを知りました。
そして、社会人として働き出すための採用の面接では、トランスジェンダーだということを明かしました。しかし、実際働き出すと、上司からは「お客さんの前では女性でいて。商品が売れなくなるから」と言われ、性的マイノリティへの認知度の低さを感じました。
―今までの経験を振り返ってみて、何か感じることはありますか?
これまでの人生の中で、男性女性ではなく、一人の人としてどうあるべきなのかと、自分と向き合い続けてきました。自分の思考や気持ちと向き合うことで、人の気持ちも察し、理解しようと尊重することにつながっていると思います。今もこれからも自分と向き合い続け、人のためにできることをしていきたいです。
―皆さんに伝えたいことはありますか?
10〜20年前と比べると、性的マイノリティへの理解が少しずつ進んできていると思いますが、生活の中で、まだまだ苦しいことや差別的だと感じることがあります。
想像できないことや知らないことを受け入れるのは、とても難しいと思います。性的マイノリティへの偏見があり、受け入れられない人がいるということを私も理解したうえで、まずは、一人でも多くの方に、性的マイノリティについて知っていただきたいと思っています。
■こんな制度があります/いばらきパートナーシップ宣誓制度
この制度は、婚姻制度とは異なり、法律上の効果が生じるものではありませんが、「一方または双方が性的マイノリティである2人の者が、互いの人生において、互いに協力して継続的に生活を共にすることを約した」ことを宣誓し、パートナーシップの関係にある者同士が宣誓書を茨城県に提出し、県が受領証等を交付することで、パートナーを家族同様に取り扱うこととする制度です。
県は、令和元年7月に全国の都道府県として初めて創設し、現在県内108組が受領証等の交付を受けています(令和5年10月31日現在)。
□公営住宅への申込みができる
茨城県や水戸市を含む、県内38市町の公営住宅の入居申込みができます。
□医療機関における面会や手術の同意ができる
水戸赤十字病院、水戸済生会総合病院、水戸協同病院、水戸医療センターなど、県内の31か所の医療機関で利用できます。
□夫婦と同様のサービスが利用できる
携帯電話の家族割引や生命保険の受取人、自動車保険・住宅ローンなどで、夫婦と同様のサービスが利用できます。また、水戸市職員の福利厚生において、慶弔金の給付に適用するなど、市としても取組みを進めています。
■性的マイノリティに関する 相談窓口
性的マイノリティ当事者の方、その家族や友人の方が抱える不安や悩みなどに寄り添う相談窓口があります。一人で悩まず相談してみませんか。
□水戸市性的マイノリティに関する電話・メール相談
電話相談:毎月第2水曜日の18:00~20:00に、相談専用電話(【電話】233-7830)へ
メール相談:随時受付けていますので、いばらき電子申請・届出サービスから申込み
※返信には3日~1週間程度かかります。
□茨城県性的マイノリティに関する相談室
電話相談:毎週木曜日(祝日、年末年始を除く)の18:00~20:00に、相談専用電話(【電話】301-3216)へ
メール相談:随時受付けていますので、専用フォーム(二次元コードは本紙参照)から申込み
※返信には1週間程度かかります。
□NPO法人RAINBOW茨城LGBT当事者によるメール相談
メール相談:随時受付けていますので、メールで、NPO法人RAINBOW茨城(【メール】rainbow.iba2017@gmail.com)へ
※対面での相談も受付けています。事前に、メールでお問合せください。
□一般社団法人gid.jp日本性同一性障害と共に生きる人々の会性別の不一致に関する相談や情報提供
メール相談:随時受付けていますので、専用フォーム(二次元コードは本紙参照)から申込み
※返信には1週間程度かかります。
問合せ:男女平等参画課
(【電話】226-3161)
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