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特集 おいしいねぎを届けるために~「水戸の柔甘(やわらか)ねぎ」おいしさの秘密~(1)

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茨城県水戸市 クリエイティブ・コモンズ

「全国ねぎサミット2024inみと」にも出展する、水戸を代表するブランド野菜の一つ「水戸の柔甘ねぎ」。一般的なねぎと比べて白い部分が長く、食べると柔らかくて甘みを感じるのが特徴です。
「柔甘ねぎ」の開発に当初から携わった園部優さんに、これまでの苦労や、高い品質を保ち続けることができる理由について、話を伺いました。

水戸農業協同組合代表理事組合長 園部 優さん

■県担当者の一言から始まったねぎ栽培
今から30年ほど前、当時の茨城県水戸地域農業改良普及センター担当者の「水戸で軟白(なんぱく)ねぎを作ってみませんか。」という一言から、園部さんの「柔甘ねぎ」栽培が始まりました。「軟白ねぎ」とは、一般的な露地(ろじ)ねぎ(屋外の畑で栽培するねぎ)と異なり、ハウス栽培により、柔らかく、白い部分を長くするように栽培されたねぎのことを言います。当時、県内ではほとんど栽培されておらず、初めはあまり気が乗らなかったという園部さん。しかし、「担当者が熱心に勧めるものだから。」と、園部さんともう一人の農家で試作を始めました。

■多くの課題を解決し、高品質なねぎが完成
始めるとは言ったものの、どのように栽培すればいいか、何も分かりませんでした。そのため、「同様のねぎを作っている農家や、他県の農業改良普及センター、資材メーカーなどを訪ねて回りました。北海道にまで行
くこともありました。」栽培の手がかりを得るためなら、どんな苦労も惜しまなかったと話します。
しかし、栽培を始めてからも、たくさんの課題にぶつかりました。苗を植えて早々、ねぎが倒れてしまったり、露地ねぎを栽培していた時には見たこともない病害虫の被害にあったりするなど、想定外のことが立て続けに起きました。いくつもの方法を試し、一つ一つ課題を解決しながら、栽培方法を確立していきました。
栽培を始めてから1年後の平成9年。苦労が実を結び、納得できるねぎが完成しました。市場関係者たちが試食をすると、その品質の高さに驚いたといいます。平成10年からは、園部さんたちが作った軟白ねぎを「水戸の柔甘ねぎ」と命名して販売を開始。
以来、「柔甘ねぎ」の評判は広まっていきました。現在では生産者も17名になり、生産量は年間約150トンにまで増加。日本だけでなく、海外にも輸出するようになりました。「開発に携わって30年近く栽培してきましたが、作ってきて本当によかった。」と、園部さんは笑顔を見せてくれました。

■おいしさを支える厳重な管理とこだわり
「柔甘ねぎ」のおいしさを支えているのは、生産者全員による品質の厳重な管理と、よりおいしいものを消費者に届けるというこだわりです。
栽培方法は、園部さんが、水戸農業協同組合の中にある「ねぎ生産部会」の中に立ち上げた「柔甘ねぎ部」によって細かくマニュアル化され、生産者は全員そのマニュアルに従って栽培します。そこには、種をまく前の土壌の基準や、収穫時期に応じた種の種類などが細かく記されているそうです。水戸農業協同組合の担当者も、ここまで細かく管理している部はないと言います。
また、全ての畑で、出荷する前に必ずサンプリング検査をし、甘みや柔らかさ、苦味などを数値化して記録しています。さらに、検査結果は全員で共有し、定期的に改良方法を模索しています。このほかにも、新しい栽培方法を3年間試し、データを収集。より良い結果が出た場合は、全員で新しい方法に切り替えています。
消費者に、よりおいしい状態で「柔甘ねぎ」を届けられるよう、園部さんたちの探求はこれからも続きます。

問合せ:農産振興課
【電話】259-2212

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