■笠間市立病院医師 渡邉洋章(わたなべひろあき)
今般、新型コロナウイルスパンデミックをきっかけに、身近な医療(プライマリ・ケア)を担う「かかりつけ医」の役割に大きな注目が集まっています。熱が出た、眠れない日が続く、血圧が高い、物忘れが多いなどの症状が気になりませんか。「タバコをやめたい」「ガンかもしれないと心配」「予防接種が気になる」など予防について気になりませんか。「介護について知りたい」「在宅で療養したい」など誰に相談したら良いかわからないことはありませんか。そのような疑問について相談できるのがかかりつけ医です。そして、かかりつけ医の専門家であるのが家庭医療専門医です。
かかりつけ医をもつことは患者さんにとって義務ではありませんが、多くのメリットがあります。
例えば、個別の健康状態や生活全体を把握してもらい日常の悩みや相談ごとに対応してもらえること、総合病院に比べ待ち時間が少ないこと、家族のことでも気軽に相談できることなどが挙げられます。かかりつけ医は患者さんの普段の状態を知っているため、微細な状態の変化に気づき、病気の早期発見や介入が期待できます。また、かかりつけ医は患者さんの病歴や健康情報を蓄積し、その情報に基づいて適切な医療・治療を提供できる点でも重要です。また、継続的なコミュニケーションを通じて生活指導や早期治療が可能です。さらに、患者さんが複数の病気を抱えたときに、異なる病院に分散して受診するのではなく、かかりつけ医の先生の守備範囲の中で診療を集約することが可能です。
かかりつけ医の選定は患者さんにとって有益であるだけでなく、地域の医療機関との連携や情報共有にも寄与します。これにより、地域全体の健康増進や疾病の予防にもつながるでしょう。笠間市内にはかかりつけ機能を持つ病院や約30以上のクリニックがあり、かかりつけ医を見つけることで安心して生活できる環境が整っています。例えば市立病院は、かかりつけ機能を持つ病院として家族や生活背景を考慮した総合的な診療を提供し、患者さんに多角的なケアを提供することをモットーとしています。そして、かかりつけ医の専門家である家庭医療専門医や指導医が複数いて、その育成機関にもなっています。もちろん、市立病院をかかりつけ医として選んでいただくこともできます。
地域のかかりつけ医と二人三脚で健康管理に努めることは、患者さんに安心をもたらすでしょう。かかりつけ医をもちませんか。
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