■ポリファーマシーについてご存じですか
笠間市立病院薬剤師 多田文子(ただあやこ)
近年、薬の多剤併用を意味する「ポリファーマシー」が問題となっています。複数の薬が処方されることは、さまざまな病気を抱え、病気ごとに異なる医療機関を受診することが多い高齢者にとって珍しいことではありません。ポリファーマシーは、特に高齢者にとって身近な問題であるといえます。
▼ポリファーマシーとは?
複数を意味する「ポリ」と調剤を意味する「ファーマシー」を合わせた言葉です。ポリファーマシーとは単に服用する薬が多いことではなく、多くの薬を服用しているために、薬の相互作用や飲み間違い・飲み忘れなどの問題につながる状態のことをいいます。
薬を何種類以上服用したらポリファーマシーに該当するのかという厳密な基準はありませんが、六種類を超えると薬による有害事象の頻度が増加するといわれています。
もちろん、多くの薬を服用することがすべて悪いというわけではありません。不必要な薬は減らさなければなりませんが、それぞれの患者さんの症状に応じた薬は必ず服用しなければなりません。
▼ポリファーマシーを予防するには
▽お薬手帳を活用しましょう。
病気ごとに異なる医療機関に受診している場合は、薬が重複しないように、医師や薬剤師に使っている薬(飲み薬や塗り薬、目薬、湿布など)を正確に伝えましょう。全部の薬を正しく覚えることは難しいので、お薬手帳を活用してください。お薬手帳は、処方薬全体を把握できるよう一冊にまとめるとよいでしょう。
▽ご自身で使用している薬を正しく理解しましょう。
何の薬か分からないけど、処方されたから服用しているという方もいます。薬を正しく理解することで、不必要な薬を減らすことができます。
▽薬以外の対処法を試してみましょう。
例えば、生活に運動を取り入れることで、睡眠薬を減らせたり、食事内容を見直すことで血圧や血糖の問題が改善したりすることがあります。生活習慣を改めることは難しいことですが、まずはできることから始めてみましょう。
薬の量を減らしたいからと言って、自己判断で薬の服用を止めてはいけません。症状が治まれば止めてもいい薬もありますが、慢性疾患に対する薬は、急に止めることによって、これまで抑えられていた症状が悪化してしまうことがあります。薬を減らしたい場合は、必ず受診している医療機関にご相談ください。
問合せ:市立病院
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