■対談・鈴木周也市長―SDGsへの思い
行方市SDGs推進アドバイザー・茨城大学教授野田真里
◆新企画・行方市SDGsのキーパーソンをご紹介
市民の皆さまのSDGsへの身近なご理解の一助として、行方市でSDGsに取り組むキーパーソンをご紹介させていただく新企画を立ち上げました。初回は、鈴木周也市長にSDGsへの思いについてお伺いします。
◆地産地消の自律性のあるまちづくりとSDGs
野田:鈴木市長よりSDGs推進アドバイザーを拝命し、持続可能な行方を共に創るお手伝いをさせていただいておりますこと、心より感謝申し上げます。改めてですが、鈴木市長がSDGsにご関心を持たれ、市政で活用しようと思われた経緯を教えてください。
市長:大量生産・大量消費社会はもはや限界だと思います。持続可能な地域社会の未来にむけては、地産地消や自律性のあるまちづくりが重要です。私は大学で農学を学び、JA(農業協同組合)で働いていた経験等から、食糧問題に関心がありました。農産物の生産・流通・消費の過程で、食品ロスや水、二酸化炭素排出にかかる問題等が生じます。
また、県内の他の地域で人口減少等によりコミュニティが持続不能になる現状を目の当たりにし、行方市もいずれ同様の課題に直面すると実感しました。国連がSDGsをスタートさせ、政府も取り組んでいる中で、自治体としても、地域課題の解決と親和性の高いSDGsに取り組むことは当然と考えています。
◆環境と教育を行方市のSDGsで重視
野田:SDGsは各自治体の現状に応じた取り組みがなされています。鈴木市長が特に行方市で重視しているSDGsの目標や考え方について教えてください。
市長:まず重視するのは環境です。行方市は霞ケ浦・北浦という全国有数の湖を有し、また、農業が盛んなので、水(SDGs目標6)、気候変動(目標13)、食料(目標2)等が重要になります。環境は地域社会の持続性には不可欠です。
加えて、教育(目標4)つまり持続可能な地域の担い手が基礎学力を身に着けることが重要です。行方市には麻生高校および玉造工業高校があり、将来の市の行政の担い手や地域人材の育成が期待されます。農業においても教育は不可欠です。農学はもとより、気候変動に強い農業には環境学、農産物の流通販売には経済学の素養が必要です。
よって、親の収入格差が子どもの教育格差につながることは好ましくありません。こうした負の連鎖を断ち切っていく必要があります。
※次号以降、鈴木市長との対談の続編を掲載予定です。
■令和6年度行方市SDGs推進アドバイザーを委嘱
市では、持続可能なまちづくりを推進していくために、SDGsの理念に沿った市政方針を表明しており、その理解を深めるための取り組みを行っています。市の地域特性にあった取り組みを推進していくにあたり、専門的見地から必要な意見や助言をいただくため、茨城大学野田真里教授に令和元年10月から引き続き、行方市SDGs推進アドバイザーに就任していただきました。
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