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SDGsで共に創る 持続可能な行方 第45回

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茨城県行方市

◆対談・鈴木周也市長(2)―ゼロカーボンと地域振興行方市
SDGs推進アドバイザー・茨城大学教授 野田真里

◇ゼロカーボン・再生可能エネルギーへの取り組み
野田:鈴木市長から、行方市のSDGsへの取り組みの中でも、特に環境と教育が重要であるとお伺いしました。まず、環境への取り組みについて、行方市では、令和6年に「行方市再生可能エネルギービジョン」を策定、「行方市ゼロカーボンシティ宣言」を表明されたと承知しています。
市長:同宣言のとおり、気候変動は地球規模での対応が求められており、喫緊の課題です。二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボン」や「カーボンニュートラル」(※)を2050年までに達成するのが世界共通の目標であり、これを本市でも取り組んで行く必要があると考え、同宣言を表明しました。これまでに策定した「行方市環境基本計画(令和4年に中間見直し)」、「行方市地域気候変動適応計画」および「行方市地球温暖化対策実行計画(事務業編・区域施策編)」の取り組みを加速化させることが狙いです。
野田:行方市の再生可能エネルギーへの取り組みの特徴を教えてください。
市長:本市のポテンシャルをかんがみ、3つの施策を導きました。(1)カーボンニュートラルと地域振興の同時解決、(2)防災強靭化、(3)地域循環経済における未利用資源の活用です。

◇カーボンニュートラルと高齢者への支援
野田:特に、(1)カーボンニュートラルと地域振興の同時解決については、少子化に歯止めをかけ、高齢化の上昇を抑えることにも取り組まれるようですね。
市長:本市では公共交通手段が大きな課題となっています。高齢者が通院や買い物等で外出する際、民間のタクシーだけでなく、有償ボランティアによるライドシェアサービスなど、地域の移動手段を増やすことで課題の解決につなげていきたいと考えています。これにより、各家庭でマイカーを利用するよりも二酸化炭素の排出量を削減することも期待できます。本市におけるライドシェアサービスは検討中ですが、運転手は市民から有償ボランティアを募り、所定の研修を受講していただく。また、ICTやAIを活用し、スマートフォンアプリで配車や支払いを可能にするなど、安全安心で効率的な運用を目指していきます。

◇ライドシェアと教育への支援
野田:有償ボランティアによるライドシェアの普及は、高校生等若者の通学支援など、行方市のもう一つのSDGsの重点領域である教育への取り組みにも生かせそうですね。
市長:例えば、本市から土浦市にある高校や駅を利用して通学する場合、同市に通勤される方にライドシェアのドライバーとしてご活躍いただくことも可能でしょう。高校生のいる世帯には通学補助金などで、経済的・物理的負担を軽減できたらと考えています。これら支援が、本市の将来を担う若者の人材育成につながることを期待しています。
野田:ライドシェアの普及は、ゼロカーボンへの貢献が期待されます。高齢者や若者等の利用者にとっては「誰一人取り残さない」代替的な公共交通になるとともに、有償ボランティアにとってはよい副業になります。まさに「一石三鳥」の素晴らしい取り組みと拝察します。貴重なお話をありがとうございました。

(※)本連載第39回ご参照

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