■作品の発想はどこから?
草花がモチーフの作品が多いです。季節の移ろいの中で、自然なものを取り入れ、器に表現しています。花をメインモチーフに、手彫りして模様を付けています。陶器の表面に、釉薬(ゆうやく)※1をのせることで、色の濃淡が出て、模様が浮き立つように作っています。
陶芸って化学なんです。土と釉薬と焼成によって、バラエティーに富んだ作品が作れるのが大きな魅力です。同じ釉薬でも焼成方法で全く違う色が出るので、おもしろいです。
※1 釉薬とは、陶器の表面に付着したガラス質の膜をいう。鉱物などを原料とする釉薬を塗り、焼成することでガラス質に変化する。
■お客さんとの交流の中で印象に残っていることは?
私は独立し15年になりますが、独立当初から作品を買って、応援してくれるお客さんに支えられています。国立新美術館での出展・販売をお知らせしたら、「行きます」と連絡してくれました。多くの方に支えられて、ここまで来れたかなという思いです。正直、「続けていくのは厳しいかな?ちょっと無理かな?」と思うこともありましたが、「作品が良いんだから続けた方がいいよ」と言ってもらいました。そういう時にかけてもらう言葉は、心に沁(し)みますね。毎年陶器市にもお越しいただき、コロナ禍でも変わらず来てくださり、支えていただいている皆さんには、本当に感謝しています。
■作品をどう楽しんでもらいたい?
私が作る作品は器が多いので、日常生活での使いやすさを意識して作っています。例えば持ち手とか、飯茶碗だったら口当たりを意識して、なるべく重くならないように作っています。ぜひ日常的に使ってもらいたいです。うちでは食洗機に入れて、ガシガシ使っています(笑)。
■今後の目標は?
今、イギリスのロンドンで少しずつ作品を出展・販売させてもらっています。コロナ禍で、どの陶産地も国内の消費需要が減っている中で、ロンドン出店は、笠間焼を海外に広めようと始まったプロジェクトです。これを機に、将来的には海外で個展を開きたいという思いがあります。国内での個展も開きたいですね。
また、笠間の陶炎祭会場で展示される『土面フェスティバル』は、笠間市内の小学5年生が作った土面を展示しています。毎年、笠間焼作家がボランティアで陶芸実習を行い、私も参加しています。子どもたちには、こうした時間を通して、ものづくりの楽しさを少しでも感じてもらい、心に残るような思い出の一つになってもらえたらうれしいです。この活動が、国指定伝統工芸品である笠間焼の普及にもつながってほしいと思います。
■野村 朋香 作品 出展・取扱店
▽鹿嶋人ギャラリー
野村さんの作品は、2009年より展示・販売中。
日時:
月・火・水曜日…9:30~12:30
金・土・日曜日…10:00~15:00
※木曜定休
場所:鹿嶋市宮中1丁目4番25号
【電話】77-8878
▽国立新美術館ミュージアムショップ SOUVENIR FROM TOKYO
国内最大級の展示スペースを生かし、多彩な展覧会を開催する国立美術館。館内にあるミュージアムショップで作品を展示・販売中。
日時:10:00~18:00(金・土曜日のみ 20:00まで)
※火曜定休(祝日の場合は営業し、翌日休み)
場所:東京都港区/国立新美術館地下1階
【電話】03-6812-9933
▽イギリス ロンドン 和組-wagumi-
2011年にロンドンにオープンした『和組-wagumi-』は、日本の生産者や個人アーティスト、非営利のデザインコラボレーションなどの作品を取り揃えたショップ。現地の店舗販売に加え、ECサイト販売も展開し、笠間焼をイギリスに広めるきっかけを作った場所。
▽笠間工芸の丘
店内での作品展示・販売のほか、陶芸体験ができる施設。
日時:10:00~17:00
※月曜休館(祝日・連休の場合は翌日休館)
場所:笠間市/笠間工芸の丘(笠間芸術の森公園内)
【電話】0296-70-1313
▽第43回 笠間の陶炎祭(ひまつり)
笠間芸術の森公園に200店以上の個性的な作家が軒を並べる「笠間の陶炎祭」に出店します。
日時:4月29日(月・祝)~5月5日(日・祝)
各日 9:00~17:00
場所:笠間市/笠間芸術の森公園 イベント広場
費用:入場料…500円/日
18歳以下、障がい者は無料
【電話】0296-73-0058
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