世界では、デジタル化・脱炭素化に向けた動きの加速により、さまざまな産業が急成長を遂げています。本県でもこうした産業を取り巻く環境の変化を敏感に捉え、成長産業の育成に取り組んでいます。今回は、長崎を支える、力強い成長産業の成長ポイントと県の取り組みをご紹介します。
■県内製造業の状況
◆県内総生産
県内総生産※の内訳を見てみると、製造業が7,382億円で全産業の16%を占めており(全体の中で1位)、県内総生産をリードしていると言えます。
※一定期間内に県内で産み出された物やサービスの付加価値の合計
出典:令和3年度長崎県県民経済計算
◆製造品出荷額
県内の製造品出荷額の内訳を見てみると、造船産業や航空機産業といった「輸送用機械器具製造業」と、半導体産業といった「電子部品・デバイス・電子回路製造業」が全体の40%以上を占めており、これらの産業が本県の製造業を支えている産業であると言えます。
出典:2023年経済構造実態調査
■造船産業
◆ここが成長ポイント!
▽世界的な動き
世界の船の建造量は年々増加しており、日本の造船業の手持工事量※1も右肩上がりで増加しています。
また、2023年7月に国際海事機関(IMO)で「2050年頃までに国際海運からの温室効果ガス(GHG)排出ゼロ」という目標が合意されたことを受け、世界中でカーボンニュートラル※2の動きが加速しています。
※1 新造船受注量から竣工した分を差し引いた数値
※2 温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、その排出量を「実質ゼロ」に抑えること
出典:海事レポート2024
▽長崎県の動き
本県には、各種船舶の新船建造や改造、修繕のほか、溶接・製缶・機械加工・艤装(ぎそう)・修理・メンテナンスなど、長い歴史の中で培ってきた熟練技術と豊富な経験を持つ企業が多くあります。
また、造船業界を取り巻く環境問題にも積極的に取り組み、カーボンニュートラルの動きも見据えた環境対応船の建造も行われています。
◆県の取り組み
今年5月24日にカーボンニュートラル社会の実現に向けた県内造船関連産業の振興と人材確保・育成を目的として、(株)大島造船所と連携協定を締結しました。今後、環境対応船建造などの事業展開に関し、協力企業も含めて設備投資や技術開発を支援するとともに、小学生向けの造船所見学会を関係市と連携して実施するなど、造船業の魅力発信を通じた人材確保・育成につなげていきます。
◆Topic
長崎ではたくさんの船が造られています。国内外で活躍している船の一部を紹介します!
・巡視艇
海の治安の維持や海難救助を行うための高い航行性能を備えた船です
・ばら積み貨物船
穀物などを運び、世界の物流を支えている船で、中小型ばら積み貨物船の建造量は全国1位です
・フェリー
人や貨物を運ぶ船で、離島が多い本県でも海上交通の要として、島民の生活を支えています
・観光船
県内では観光船も建造されており、リゾート施設などでも活躍しています
・護衛艦(FFM)
日本を守るための最新鋭の技術を搭載した船で、8割以上が県内で建造されています
・漁船
鋼板製の漁船を建造できるのは全国で7社のみで、うち3社が県内にあります
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