■半導体産業
◆ここが成長ポイント!
▽世界的な動き
スマートフォンやパソコンなど、身の回りのあらゆる製品に使用されている半導体。世界中でデジタル社会への移行が進んでおり、情報の収集・蓄積・解析を担う半導体の重要性や需要は、今後ますます増加することが予測されています。
出典:電子デバイス産業及びその関連産業における市場動向及び政策動向調査
▽九州・長崎県の動き
九州では半導体関連の工場建設などが相次いでおり、本県における経済波及効果は2兆6,000億円((公財)九州経済調査協会試算)で、九州2位となっています。
また、県内企業ではスマートフォンのカメラに内蔵されている「CMOS(シーモス)イメージセンサー※」が作られており、世界シェアは53%(2023年)で世界1位を誇っています。
※レンズで取り込んだ光を電気信号に変換して画像にする半導体製品
◆県の取り組み
県では、半導体関連企業と教育機関が相互に連携できる環境をつくり、半導体業界の魅力発信や専門人材の育成に取り組んでいます。
令和6年度からは長崎県立長崎工業高校で、3年生を対象とした講座「半導体製造技術」を開講し、県内企業から講師を招いて半導体産業の魅力を伝えています。
■航空機産業
◆ここが成長ポイント!
▽世界的な動き
今後の世界の航空機旅客需要は年率約4%で増加することが見込まれており、右肩上がりで成長すると予測されています。旅客需要の増加により、航空機材の需要も高まり、新たに約35,000機の航空機が製造される見込みです。
出典:民間航空機に関する市場予測 2024-2043
▽長崎県の動き
今後製造される航空機の中でも、中小型機の需要が約7割を占めるとされています。県内企業では、この中小型機向けに、「航空機エンジンの心臓」とも呼ばれる「燃焼器」という部品を製造しており(世界シェア2位)、航空機が空へと飛び立つための重要な役割を担っています。
◆県の取り組み
県では、2018年に長崎県航空機産業クラスター協議会を発足し、設備投資・研究開発・販路拡大・人材確保に取り組んでいます。
今年2月には海外企業からの受注を目指し、シンガポールで開催されたエアショーに出展し、参加した会員企業3社が海外企業48社と商談を行いました。
■洋上風力関連産業
◆ここが成長ポイント!
洋上風力発電は、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札として導入が進められています。海に囲まれた本県の特性と、県内企業が造船業で培った技術を生かせる分野として注目されており、2030年までに国内で600万世帯以上の電力を賄える規模のプロジェクトの創出が見込まれています。
県内では、五島市沖に8基稼働予定であるほか、西海市江島沖でも2029年の運転開始に向けた取り組みが進められています。また、洋上風力発電事業は、幅広い分野の企業が関わる産業であり、多くの県内企業の参入が期待されています。
◆県の取り組み
県では、洋上風力関連産業への県内企業の新規参入を後押しするため、補助金を創設し、設備投資や研究開発といった先行投資を支援しています。
さらに、今年11月に長崎市伊王島町に開所予定の訓練施設※において、県内企業の社員が訓練を受講する際の受講料を支援します。
※長崎海洋産業クラスター形成推進協議会が設置・運営。洋上風力発電施設の建設・保守作業員を育成する訓練施設
■水素関連産業
◆ここが成長ポイント!
水素と酸素を反応させることで得られる水素エネルギーの発電などへの利用が期待されています。水素は、燃焼時にCO2を排出しないため、脱炭素に向けた切り札になるエネルギーとして注目されており、2050年には世界の水素需要量は、現在の約6倍に増加する見込みです。
また、水素は製造、貯蔵、輸送、利用の手段が多様であるため、多くの企業が関わる可能性が高い分野です。
◆県の取り組み
今年6月14日にブラザー工業(株)と水素を含めた再生可能エネルギー関連産業の振興に関する連携協定を締結しました。同社は水素燃料電池の開発をはじめ、水素利活用の促進にも取り組んでおり、その取り組みや知見が、県内企業の水素関連産業への参入促進につながると期待されています。
今後は、同社と県内の自治体、企業、教育・研究機関などと連携して、水素を含めた再生可能エネルギーを活用した地産地消モデルの構築などを通じて、県内企業の参入を促進していきます。
県では、本県の強みであるものづくりの技術や人材、恵まれた自然環境を生かしながら、新たな成長産業を育成しています。特に、世界的な潮流であるデジタル化や脱炭素化を捉え、造船、半導体、航空機、洋上風力、水素分野については、設備投資、研究開発、販路開拓、人材育成など、さまざまな側面から支援を行っています。
今後も、魅力的な雇用の場を創出するとともに、“メイドイン長崎”の製品が世界に羽ばたき、県民の皆さまにとっての誇りになるよう、成長産業への支援に力を注いでまいります。
長崎県知事 大石賢吾
問合せ:
(P5~6)県の企業振興課【電話】095-895-2634
(P7)県の新エネルギー推進室【電話】095-895-2695
(特集全体に関すること)県の産業政策課【電話】095-895-2614
広報テレビ番組「みジカなナガサキ」(民放3局)でも今回の特集を10月に放送します。ぜひご覧ください。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>