◆歯周病検診の重要性
俣野まさとし歯科診療所 院長 俣野 正俊先生
歯周病と聞いてどんなイメージをお持ちでしょうか?歯ぐきから血が出る、口臭がする、歯がグラグラする、歯が抜ける。どれも歯周病の一病態です。
歯周病とは、簡単にいうと歯の周りの歯ぐきの炎症(歯肉炎)および骨の欠損(歯周炎)です。その成り立ちは、食物の磨き残しを餌に細菌の繁殖やその産生物などによって歯垢(プラーク)を形成し、プラーク中の細菌によって歯肉炎や歯周炎が引き起こされる、ということです。
今年、厚生労働省から出された健康日本21(第三次)において、歯周病を有する人の減少(40歳以上における歯周炎を有する人の割合、令和14年度目標値40%)という歯周病関連の項目があります。目標値が40%に設定されていることから、いかに歯周病の罹患率が高いかがうかがえます。
近年、歯周病と全身疾患との関連性が示唆されており、糖尿病、関節リウマチ、脳梗塞、動脈硬化、誤嚥性肺炎、腎臓病、早産・低出生体重児、アルツハイマー病などが挙げられています。特に糖尿病との関連性は双方向、つまり糖尿病が歯周病の進行を促進し、一方、重症化した歯周病が逆に糖尿病の病態に負の影響を及ぼしているという報告があります。これらの全身疾患との関連性は、これからの研究によってさらに解明されることでしょう。
その他、健康日本21(第三次)に挙げられているものに、歯科検診の受診者の増加(過去1年間に歯科検診を受診した人の割合、令和14年度目標値95%)があります。歯科検診によって早期発見、早期治療を行うことで歯周病罹患率の減少、ひいては全身疾患の改善にも繋げられると考えられます。
また、歯周病は、大人だけの話ではありません。最近、学校健診において歯肉炎が増加傾向(特に中学校・高等学校)であり、将来歯周病罹患者が増加することが懸念されます。時々お子さんのブラッシングの状態を確認されることをおすすめします。
現在、大村市では歯周疾患検診(18〜74歳の市民、自己負担500円、申込先は指定医療機関)を行っています。定期的に歯科検診を受けていない人は、ご利用になられてはいかがでしょうか。詳しくは、市ホームページでご確認ください。
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