◆冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)とは
市立大村市民病院 集中治療部長 循環器内科科長 安岡 千枝先生
心臓に酸素や栄養を送る動脈「冠動脈」の壁の内側に、LDL(悪玉)コレステロールや血栓がたまり、冠動脈が急激に閉塞した状態を「心筋梗塞」、血管が狭く血流が一時的に不十分となる状態を「狭心症」と呼びます。
◇冠動脈疾患になりやすいのはどんな人?
冠動脈疾患の危険因子には、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症等)、肥満、喫煙などがあり、また加齢による増加、性差(男性が多い)、女性の閉経後の増加が見られます。
◇危険因子の管理が予防につながる
危険因子を適切に管理すると、冠動脈疾患の発症を予防することができると言われています。
〈危険因子の管理ポイント〉
(1)若いときから喫煙しない(禁煙する)
(2)塩分やカロリーを控えた食事
(3)健康的な生活習慣(運動習慣を持ち適正な体重を維持する)
(4)定期的に健康診断を受け、危険因子を有していないか把握する
(5)危険因子を持つ人は、かかりつけの医師と相談しながら、治療を継続する
◇冠動脈疾患(心筋梗塞,狭心症)の症状
心筋梗塞や狭心症では、胸が圧迫され締め付ける強い痛みが典型的ですが、みぞおち付近の漠然とした痛みや、喉やあご、左肩や左腕、背部の痛み、歯痛の場合もあります。狭心症では多くは数分から15分以内で、心筋梗塞は症状が20分以上続くのが特徴です。
◇心筋梗塞かも!?その時は
心筋梗塞は発症後早期に治療を行うことで、死亡や心臓に重い障害が残る可能性を減らせます。自分や周りの人に心筋梗塞を疑う症状が現れたときには、迷わず救急車を呼びましょう。冠動脈疾患発症リスクの高い人やその周囲の人は、症状が起こった場合の対応について備えましょう。また心臓発作を起こした人を目撃した場合には、即座に救急車を呼ぶとともに、到着までに周囲と協力してAED(自動体外式除細動器)による除細動や心臓マッサージなどの応急処置の開始が大切です。
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