◆口呼吸(こうこきゅう)
もりもとデンタルケア 院長 森本 みよ先生
近年、お口の周囲の筋肉の発達不足により、口で呼吸をしてしまう口呼吸の子どもたちが大変増えています。口の中は乾燥し、口臭や歯茎の腫れ、虫歯の原因になるばかりでなく、お顔の骨格、表情を作る筋肉、歯並び・かみ合わせに不具合が生じてくるほか、命にかかわる疾患の原因にもなることもあります。口呼吸が一因となり、成長の過程で下顎の位置に異常が生じることで、気道が狭くなり、睡眠障害を起している場合もあります。
お子さんが眠っている様子を観察してみてください。いびきをかいていませんか、呼吸が止まっている瞬間がありませんか、歯ぎしりをしていませんか、不自然な体勢で眠っていませんか。睡眠が障害されると、それに伴う合併症だけではなく、日中の情緒や学力にも影響を与えると言われています。
顎や顔面の成長の異常は、成人後の睡眠時無呼吸症候群との関連性も指摘されています。睡眠時無呼吸症候群は適切な治療が行われなかった場合、さまざまな合併症を伴い死亡に至る確率が健常者よりも何倍も高くなることが分かっている疾患ですが、大人になってからでは、根本的な治療は望めません。しかし、小児期においては、適正な時期に適正な矯正治療を行い、顎の成長の量や方向を正常に導くことで根本的な治療を行うことができる場合があります。
鼻がつまっているお子さんも口呼吸になり、結果として同様の不正を招きます。慢性的な鼻づまりは放置せず、鼻洗浄などの対策を行うことをお勧めします。
お口の周りにある筋肉の発達は、産まれた瞬間から始まっています。正しい授乳の仕方、離乳食の与え方の知識も必要です。
この機会に、まずはご自宅でも子どもたちはもちろん、ご家族みんなでお口の周りの筋肉を鍛える運動から始めてみませんか。子どもたちに限らず、運動により、お口の周りの筋肉と舌の筋力が整い、お顔の表情や歯並びに良い影響が与えられます。
口呼吸は、百害あって一利なしです。ぜひ、かかりつけ歯科医にご相談ください。
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