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自治体の皆さまへ

地域で支え、ともに生きる~認知症を知り、行動する~(1)

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長崎県対馬市

「認知症」と聞いて、皆さんはどんなこと割合と対馬市の高齢化率を思い浮かべますか?自分には関係ないと思っていませんか?
人生100年時代を迎え、2030年には高齢者の5人に1人が認知症になると言われています。特に対馬市では、人口の4割以上を高齢者が占めることから、身近な人が認知症と診断されるケースが他地域よりも多くなることが想定されます。認知症と共生する社会を迎えるために、皆さんと考えていきましょう。


内閣府「平成29年度版高齢社会白書」対馬市高齢者福祉計画

■認知症について聞いてみました
認知症や、認知症との向き合い方について、長崎県対馬病院で物忘れ外来を担当する八坂貴宏院長と、同院精神科・伊藤隆伸医師にお話を伺いました。

Q.認知症とはどのような病ですか?
伊藤医師)様々な要因で引き起こされる脳の病気です。最も多いのは、脳が委縮するアルツハイマー型認知症ですが、そのほかにも、血管のつまりが原因となるものや生活習慣病から引き起こされる認知症状もあり、100種類くらいはあると言われています。どの症状であっても、これまでの日常生活が、認知症によって送ることができなくなるというのが、この病の一番の特徴です。

Q.認知症になってしまったらどうなるの?
伊藤医師)認知症と診断されたからといって、長期の入院や施設への入居などによって、これまでの生活がすぐに壊れてしまうということはありません。症状を理解し、物忘れや判断力が低下していても、自身で気をつけ周囲のサポートを受けながら、これまでの生活を維持していくことは可能です。症状によっては、投薬や治療によって軽くしたり、その原因を取り除くことはできます。

八坂院長)認知症と診断された場合、症状に合わせて対応が異なりますが、基本的には、社会の中で介護されながら生活することになります。例えば、比較的症状が軽い方であれば、薬を飲みながら、デイサービスなどの介護支援を受けてレクリエーションで汗を流すなどの日常生活を送ることで、症状の進行をゆっくりとする工夫をします。症状が進んだ場合には、訪問看護や一時的な入院を行って症状を緩和させていきます。認知症の方はもちろん、そこに関わる人たちがその方の人格や個性を尊重しながら支えあう仕組み※を作って生活していく必要があります。

※認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会の実現を推進することを目的とした認知症基本法が今年6月に成立しました。

伊藤医師)人は誰しも加齢によって認知機能の低下が見られます。本人も、家族も、地域の人たちも、認知症の対応が必要になる前に認知症について知っておいて、準備するというのはとても大事なことです。

Q.認知症を防ぐ方法はありますか?
伊藤医師)こうすれば認知症には絶対にならないというものはありませんが、認知症に至る可能性がある脳の病気や心臓の病気について、喫煙や飲酒、運動不足などの生活習慣が原因で引き起こされやすいということは分かっています。ですから、認知症のリスクを減らすという意味では、生活習慣に気をつけるということは、非常に大切だと思います。また、ご自身の健康に気をつけている方は、自分の身体の変化に敏感ですし、認知症のこともよく勉強されています。
もし、認知症の症状が出たとしても、自分自身や近しい人たちの身体の変化に注意をもって接していれば、初期の段階で対処が可能です。そうすることで、認知症になっても、質を変えることなく、長く生活を送ることが可能になりますし、家族や周囲の人たちとも良好な関係を続けることができると思います。医学よりも、健康意識を持って日々生活するということは、私たち人間が元気に過ごす上で一番大切なことだと思います。

Q.物忘れ外来について教えてください
八坂院長)物忘れ外来は、最近物忘れが気になるという人やその家族、また別の症状で診察した医師などからの紹介で年間数十人の方が受診されています。外来では、問診やテストなどの検査を行って、加齢による物忘れなのか、認知症による物忘れなのか、認知症であれば、その種類やどの程度の進行具合なのかを診断していきます。
年相応の物忘れの方であれば、食事や運動など生活に気をつけてという話をしますし、症状が進行している方は、精神科の先生に経過を見てもらったり薬の調整を細かくしてもらって、症状を落ち着かせたうえで、これからの生活をどうしていくのかを、ご家族を交えて相談します。認知症の有無や度合いに合わせてですが、その方がどう生活していくのかを相談することが最初のスタートになります。

Q.受診の目安はありますか?
八坂院長)気になる方はどんどん受診していただきたいです。検査して何もなければ「何もなくてよかったですね」で済みますし、生活の中で気をつけるところなどをアドバイスさせてもらいます。中には、あまり症状が表に出ていない患者さんで、物忘れ外来でやり取りしたからこそ、認知症の発見につながった人もいます。
認知症は、いつもの生活のちょっとした変化や言動で発見することも多くあります。現在は、インターネットなどで簡易的なテストも行うことができるようになったので、そういった情報を入手しながら、気になったら私たちや、行政の方などに相談していただけたらと思います。一人や家族で抱え込んでしまって症状が進行したり生活が行き詰まる前に適切な対処ができれば、認知症で苦しむ人が少なくなることにつながります。

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