皆さんは、対馬でも献血ができることを知っていますか?年に2回、献血バスが市内を巡回しています。「いのちのリレー」ともいわれる献血。手術などで輸血を必要としている人は年間500万人、事故やケガ、病気などで、私たちもいつ必要になるかわかりません。16歳から69歳まで行うことができる献血。「針が痛そう」「時間がかかる」などのイメージもあり、献血に協力する人が減少傾向にある今、この特集をきっかけに皆さんも、いのちのリレーへの参加をお願いします!
■「血液」私たちの生命に必要不可欠な存在
私たちの体中をくまなく流れる血液は、栄養や酸素を運んだり、外部から侵入したウイルスや細菌から体を守る役割など、人間の生命を維持するために欠くことのできない機能を多く含んでいます。1900年にABO血液型が発見され、安全に輸血ができる方法や手段が確立されていくと同時に、血が固まってしまう血液本来の働きを抑えるなどして、血液を保存できる時間を伸ばしてきました。現在、成分ごとに違いはありますが、最長で21日間保存することができます。
高度な医学技術が発達した現代ですが、血液の代わりになるものを人工的に作り出せてはいないことから、ケガや病気の治療に血液が必要になった場合、輸血は欠かすことができない治療法となっています。国内では1日に平均約3000人が輸血を受けており、日本において輸血などで使う血液は全て献血によって賄っているため、年間500万人の献血が必要とされています。
《対馬市内での献血は?献血会場におじゃましました!》
対馬市内では、毎年5月頃と11月頃の年2回、献血を行う機会があります。献血には、長崎県赤十字血液センターが巡回する献血バスが、本土から対馬へ海を渡ってやってきており、2週間ほどかけて市内各地を廻って献血を行っています。
現在、献血は、全ての血液を提供する全血献血と、血液中の一部の成分だけを提供する成分献血がありますが、対馬では全血献血のうち、400mL献血が行われています。400mL献血は男性17歳以上、女性18歳以上で、体重が50kg以上の方が行うことが可能です。
受付で、その日の体調や渡航歴などの問診を行いバスの中へ。医師による問診と血圧測定、血液の濃さを測る検査を行い、献血を行っても問題がなければ、バスの中に設置されたベットへと向かい、献血を行います。混み具合にもよりますが、受付開始から献血終了まで約30分ほどです。
▽取材中、人生初の献血を経験した方にお話を伺いました!
「これまで、何度か献血をしようと思っていたんですが、貧血などでできず、今回、ようやく初挑戦することができました。注射が苦手で、緊張していたんですが、実際やってみると痛くもなく、あっという間に終わりました!私の血液が、誰かのためになるのなら、これからも続けて行きたいと思います!」
◆献血した血液は?離島ならではの工夫
輸血用血液として利用するために、厳しい品質基準が課せられています。その一つが運ぶスピード。献血された血液は6時間以内に分離・精製しないと、輸血用血液としての品質基準を満たさなくなるため、対馬から飛行機で福岡へと運ばれます。新鮮な血液を運ぶ必要があることから、飛行機が欠航しそうな悪天候の場合、献血が中止になることもあります。
《他人のためだけじゃない!献血のメリット》
献血は、血液を必要としている人のためだけではありません。献血を行う人たちにも、色々とメリットがあります。献血を終えると受け取ることができる日用品などのプレゼント。時には献血とコラボしたグッズのプレゼントもあり、次の献血に向けてのモチベーションにもつながります。また、献血回数が一定数に到達すると、記念品が贈られる表彰や顕彰の制度もあります。
《アプリで健康管理も》
日本赤十字社では、継続して献血を行ってもらう人を増やす目的で、インターネット上の会員サービスを行っています。サイトやアプリ上で献血の予約ができるだけでなく、献血を行った際の血液の数値結果などをチェックすることができます。
《献血を支える対馬の人たち》
献血では、血液を提供するだけでなく、様々な形で協力する人たちがいます。世界中でボランティア活動を行っているライオンズクラブは、日本で、国や地方公共団体が献血の普及を進め始めた60年ほど前から献血への協力を呼びかける運動を行っています。つしまライオンズクラブでは、40年ほど前から、市内で献血を呼びかける活動を続けています。
○献血会場の入り口で、目立つ黄色いジャンパーを着てボランティア活動を行っています。会場での呼びかけにお答えいただく方もいらっしゃいますし「お前がおるけん(献血に)きたちゃ」と、27人の会員の横のつながりで来てくださる方もおり、自分たちの活動が、献血を必要とされる方のお役にたてた喜びがあります。対馬の多くの皆さんに、献血への興味や関心を持ってもらい、ご協力いただけるよう、これからも頑張っていきたいです。
つしまライオンズクラブ 播磨孝記 会長
《これからの課題は?》
対馬だけに限らず、少子高齢化の影響により、若い世代で献血をしてくれる人たちが減少しています。現在は、必要な量が確保できている状況ですが、これからさらに人口が減少していくことで、十分な血液が確保できなくなる可能性があり、一人でも多くの若い世代に献血に参加してもらう取り組みが、今後ますます必要になります。対馬市では、16歳から可能な200ml献血が行われないなど、若い世代が献血に触れる機会が他地域よりも少ない分、献血を行っている人たちが、献血の魅力など、若い世代に献血をより身近に感じてもらえるよう、伝えていく活動が必要です。
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