~日米韓海洋環境シンポジウム2024~
私たちが暮らす対馬には、大量の海洋ごみが流れ着いており深刻な問題となっています。対馬市では、このほど、対馬市の現状や取り組みを例に挙げながら、日本、アメリカ、韓国の関係者が集まり、海洋ごみについて意見を出し合うシンポジウムを行いました。
■海洋ごみは世界共通の課題に、対馬の現状を世界が注目
海洋ごみに多く含まれるプラスチックが、地球環境に大きな影響を及ぼしていることが世界中の人々から注目を集めるようになった現在、昨年8月の日米韓首脳会談でも、3か国の大きな関心ごととして取り上げられました。そこで12月には、ラーム・エマニュエル駐日米国大使と尹徳敏駐日韓国大使が、日本で最も海洋ごみが流れ着いている対馬を訪れて海岸清掃を行い、対馬の現状を実際に体感することによって、3か国の連携に向けた意識を高めました。その中で、対馬の現状を知ってもらうとともに、海洋環境の保全に取り組む人たちの活動を発信するためのシンポジウムを行うことが提案されました。
■対馬の現状と取り組みを例に、解決策を考え、世界に発信
シンポジウムは、対馬市主催、駐福岡大韓民国総領事館・在福岡米国領事館共催によって、7月11日に福岡市で開催され、国際条約策定(国際的な約束)に向けた動きの報告や「対馬島の漂着ごみの現状とアクション」「海洋プラスチックと循環経済」をテーマにパネルディスカッション形式で関係者が意見を交わしました。
■地球規模で取り組むために
2022年11月から、プラスチックによる地球環境への汚染に関する国際条約を策定するための政府間交渉が行われていることから、シンポジウムの冒頭、環境省から、日本が、社会全体でプラスチックを循環させるメカニズムの構築や、プラスチックに関わる全ての人が、責任をもって対応するべきだとする意見を盛り込むように求めていることなどが説明されました。この条約の交渉は、11月に釡山で第5回目の政府間交渉委員会が行われ、今年中に作業を終える予定です。
■大学生も国を越えて考える
シンポジウムの前日には、プレイベントとして大学生が主体となり、沿岸や海洋保全を考える取り組みとして、福岡市内にあるアメリカ領事館の施設でワークショップが行われました。学生は、政府や企業におけるプラスチック汚染対策の取り組みや、対馬での海洋ごみの現状などについて説明を受けたのち、プラスチック汚染に対し、どのような行動を起こすべきかグループで議論し、発表を行いました。
発表では、プラスチックごみを積極的に回収してもらうために、企業などから資金を調達し、回収した人に医療や食事などのサービスを提供する案や、プラスチック製の衣類を洗濯した時に発生する小さなプラスチック片を回収するためのフィルターを3Dプリンターを使って安価に製作し、世界中の洗濯機に取り付ける案など、様々なアイディアが出されました。
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