◆その便秘、”気のせい”ではないかも? 過敏性腸症候群
・本川医院 松屋合歓(川棚町)
便秘や下痢が続いておなかが痛い、張って苦しいといった症状はありませんか?
最近3か月で平均して週1日以上腹痛を繰り返しており、その腹痛が便秘や下痢と関連して起こっている場合、「過敏性腸症候群」の可能性があります。もちろん、便秘や下痢を起こす病気は過敏性腸症候群だけではありません。
発熱、関節の痛み、血便、過去6か月以内にダイエット以外で3kg以上やせた、腹部のしこり等の異常がある人、また50歳以上での発症、大腸の病気にかかったことがある人、家族に大腸の病気がある人では、大腸がんや炎症性腸疾患等を疑って大腸カメラ検査を行う事が望まれます。
これらに該当しない人も血液検査や便検査、腹部レントゲンを行い、他の大腸の病気がない事を確認してから治療の方針を決めていきます。
過敏性腸症候群の治療としては、まずは食事と生活習慣を見直します。
脂っこいもの、コーヒー等のカフェインを含む飲み物、唐辛子や胡椒等のスパイスは下痢や腹痛が悪化しやすいためなるべく控えていただきます。また、牛乳や乳製品、食物繊維、FODMAP(フォドマップ)と呼ばれる糖類を含む食べ物で症状が悪化する場合がありますが、個人差が大きいためインターネットなどの情報を鵜呑みにせず、自分に合った食べ物を慎重に見つけていく事が大切です。
また、適度な運動をする事で症状が改善するとも言われています。
薬物での治療は症状によって異なっており、下痢には整腸剤や制吐剤の一部、便秘には下剤等、腹痛には消化管運動機能を調節する薬を使用します。便の硬さを調整する薬も広く使用されており、漢方薬や抗アレルギー薬の中にも効果を発揮するものがあります。
以前は、心理的ストレスが過敏性腸症候群の原因と考えられ、「気持ちの問題」として扱われがちでした。しかし、現在では腸内細菌の働きや腸管の炎症、アレルギー反応等により腸が刺激を受け、その刺激を脳が過敏に受け取ってしまうために、便通の異常や腹痛が起こると考えられています。
とは言え、心理的なストレスが過敏性腸症候群の症状を悪化させる事は間違いありません。前述の薬物だけで治療が難しい人には、次のステップとして抗うつ薬や抗不安薬による治療や、心理療法も行われています。
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