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INA輝き人ファイル

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長野県伊那市

■[No.46]酒井さつきさん(78)
さかい・さつき(美篶)
郷土料理伝承家。市内を中心に料理教室を開講する。また、食を通じた地域貢献を目指す「志和の会」で代表を務める。

▽古くから受け継がれてきた食文化を見つめ直す
「健康な体は安全な食材から、愛情を込めた手作りの食卓から」。酒井さんは、郷土食や旬の食材を扱った料理教室を地域の方や子どもたちに向けて開催したり、代表を務めるグループで子ども食堂を行ったりするなど、食を通じたさまざまな活動を行っています。
酒井さんが『食』に関心を抱いたのは、高度経済成長期のころ。当時は、輸入食材に対する過剰消毒など食の安全性が社会問題となっていました。以前働いていた農業協同組合での研修などを通して、酒井さん自身もその危険性を実感したと話します。酒井さんのモットーは「身近な食材と調味料で簡単に」。安心安全である身近な食材とどの家庭にもある調味料を使った、誰でも簡単に作ることができる料理が健康な体につながっている。多くの方に、この思いが伝わればとさまざまな活動を始めました。
酒井さんが料理教室などで伝えているレシピは、その土地ならではの食材や食べ方がある郷土食、そして季節ごとの伝統行事やお祝い事でいただく行事食などです。「今日は十五夜だから、おからこ餅を作って里芋と一緒にお供えして、明日はそれをお味噌汁にして食べるんです」といいます。古くから受け継がれてきた食文化について、「『四里四方に病なし』ということわざのように、自分の身の周りで採れる食材を食べていれば、病気知らずで、健康な体づくりにつながる」と話します。地域の小学生に向けて、種まきから収穫までを行う農業体験を企画したときには、夢中になって畑作業をしていた姿が印象に残っているそうです。保護者の方から、体験後も自宅の畑で農作業を続けているという話を聞いたときは「農業体験をきっかけに生きるチカラを育んでくれている」とやりがいを感じたといいます。
自身が代表を務める志和の会では、地域の皆さんが集まり、持ち寄った野菜などを使ってカフェを開く一方で、子ども食堂も行っています。きっかけは「市内にも食べることに困っている子がいる」、そんな話が耳に入ってきたこと。いてもたってもいられなかった酒井さんは仲間とともに、すぐさま活動を始めました。コロナ禍で学校が長期休業となったときには、地域の子どもたちにお弁当の提供を行い、「おいしかったよ」という声を励みに仲間とメニューを考えたと話します。
酒井さんは食文化を見つめ直す活動を通して、食の大切さを伝えています。

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