■[No.47]加藤航太さん(28)
かとう・こうた(山寺)
信州大学研究専属職員。CROSS BIRD代表。
ドローンを使った農業支援に取り組み、市内小学生を対象としたスマート農業講座で講師も行う。
▽“行き当たりバッチリ”目標に向けて前向きにまずは動くこと
「前例の無いことを進めることは失敗がつきもの。しかし、失敗した分だけ経験として積み重ねることができる」。ドローンを使った農地確認や農薬散布など、農作業の省力化に取り組む加藤さんは、常に自身が初めて経験することに前向きな気持ちをもって取り組んでいます。
県外の大学卒業後、就職を検討していた加藤さんでしたが、地元の信州大学農学部と伊那市が連携して先端技術を使った農業分野の省力化への取り組みを行っていることを知り、研究専属職員として携わることにしました。初めての分野で戸惑うこともありましたが、先端技術がもたらす省力化の効果を実感するとともに、農家の皆さんから、農業の担い手不足の現状や労働環境、またデジタル化導入への躊躇など、たくさんの生の声を聞くことができ、課題解決に向けて農業支援をしていきたいという思いが強くなりました。
加藤さんが取り組むドローンを使った農地確認作業は、空撮とAIによる画像分析から農地の面積や作付けした作物を自動で判別することができます。これにより、従来行われていた圃場の所有者や面積、転作した作物などを記載した立て札を事前に立ててもらう手間が減り、圃場の立て札を見ながら現地確認を行う行政や地区役員の手間を無くすことができます。また、農地確認作業を行うための準備やデータ入力の事務など細かな作業も含めて手間や時間を省くことで、加藤さんは従来と比較し7割程度の省力化を見込み、こうした取り組みによる効果を小規模な自治体にも横展開させ、省力化された時間をほかの形で農家に還元されることを目標に取り組んでいます。
「農家の皆さんが抱える課題はさまざまで、高齢化に伴う担い手不足や有害鳥獣による農作物被害、遊休荒廃農地など多くの課題が散在し、それぞれの課題に起因する身体的な負担や長時間労働によって、体力的に農業を続けることが難しい現状もある。こうした課題を解決するためにもデジタル化によるスマート農業には可能性がある。個人農家でも気軽にドローンを扱えるようスキル習得のためのセミナーも開催したい。こうしたことが少しでも農家の皆さんのモチベーションにつながってほしい」。
加藤さんが常に心に持っている言葉は「行き当たりバッチリ」。目標に向かって前向きに動かなければ何も始まらない、加藤さんは課題解決に向け農家の皆さんと共にこれからも前向きに取り組んでいきます。
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