■伊那市長谷 戸台パーク
伊那市長谷にある南アルプスの登山基地は、「戸台(とだい)」や「戸台口(とだいぐち)」とか「仙流荘」などの名前で呼ばれています。正確には「蟹坂」と言うようですが、どの名前でも何となく世間に地名が共有されています。
南アルプス北部の仙丈ヶ岳(3,033m)、東(甲斐)駒ヶ岳(2,967m)、栗沢山(2,714m)などへは一般的に北沢峠が起点となります。北沢峠へは、伊那市営南アルプス林道バスで長野県側から登るルートと、山梨県側の広河原からアプローチするルートがあります。ところが、広河原からの林道は、令和元年(2019年)の台風19号で法面崩壊、落橋、林道崩落など壊滅的な災害を受け、復旧の見通しが立たないまま今日に至っています。従って現在南アルプス北部への入山ルートは長野県側しかなく、山梨県側からの林道復活が待たれるところです。
さて、いくつもの名称をもつ「仙流荘」周辺では、国土交通省の「黒川渓流保全工工事」と呼ばれる大規模な河川改修工事が行われています。黒川は大きな災害を幾度となく起こしてきました。「黒川渓流保全工工事」は安全対策事業の一環です。この事業の完成を機に、山岳関係者や観光客などに広く周知し、認知してもらえるような名称として、仙流荘周辺は「南アルプス長谷戸台パーク」となります。歴史ある戸台の名前を残し、南アルプス国立公園のナショナルパーク、日本ジオパークからパークを使い、一帯を公園的な名称としました。また、予てから使われてきた「南アルプス林道」は、仙丈ヶ岳が「南アルプスの女王」と呼ばれているのに因み「南アルプスクイーンライン」に、パワースポットで知られる「分杭峠」へのバスルートも「分杭気の里ライン」としました。
戸台パークの駐車場も現在の400台から約700台収容できるスペースに広げ、従来のバス乗り場は仙流荘前に移動し、切符売り場も施設内に組み込んで、バスと宿泊施設の仙流荘が一体となる配置に変わります。この4月からは、南アルプスの登山基地としての機能をもった「南アルプス長谷戸台パーク」に生まれ変わり、多くの登山者・観光客が訪れることでしょう。
伊那市長 白鳥考
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