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[特集]ワインを育てる人 ワインが育てる塩尻(4)

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長野県塩尻市

■未来につなぐ高校生
市内にある塩尻志学館高校では、座学と実習を通してワインを学ぶ授業を行っています。ワインについて学び、ワイナリーへの就職を目指す生徒に、ワインを学ぶ思いなどを聞きました。

[塩尻志学館高校3年生 竹下 葉月さん(岩垂) 大和 航平さん(北熊井)]
◇なぜ、ワインについて学ぼうと思ったのですか。
大和さん:この学校に入学する前は、高校でやりたいことがなく、高校在学中に見つけようと考えていました。塩尻志学館高校を見学した時に、ワイン製造の授業があることを知り、面白そうだと思い、塩尻志学館高校へ進学しました。そして、2年生でワイン製造の授業を選択しました。
竹下さん:私も、高校を探している時に初めて、塩尻志学館高校がワイン製造の授業をしていることを知りました。ワインの印象は親が飲んでいる物というくらいでした。ですが、ワイン製造の授業は、国語や数学などのような座学だけでなく、農場での実習もできることが魅力的だと思い、ワインについて学びたいと思ったことがきっかけです。

◇ワインについて学ぶ中で、楽しいことを教えてください。
大和さん:1年を通してブドウの成長を見られることがとても楽しいです。ワイン製造の授業が2日に1回くらいあり、前の授業で手入れをした時よりもブドウが育っているとうれしいです。特に、結実から着色までの期間が楽しく、ブドウ栽培を経験してから行う収穫と醸造は、座学とは違って新鮮ですね。
竹下さん:私は一人で黙々と作業することが向いていると思っていて、実習の時はブドウに向き合えていると感じます。ワイン製造の授業は毎日ではないので、ブドウが育っているのを見るたびに、大変だけど楽しくてうれしいです。また、ブドウ栽培などの実習は座学と違い、先生や友だちと一緒に作業できるのが楽しいですね。

◇ワイン製造を学ぶために行った北海道研修で、印象に残ったことはありますか。
竹下さん:塩尻市外で、ワイン造りを仕事にしている人と話せたことに刺激を受けました。その土地やそのワイナリーでしかできないものを作ろうとする人が、自然や未来を守って次の世代につなげる姿勢を見られたと思います。私も、情熱を持って、ワイン造りに向き合いたいと思いました。
大和さん:まず、北海道は塩尻市と気候が違うということを肌で感じることができました。気候の違いによる、仕立てや品種、越冬するための方法などの違いを学びました。ワイナリーそれぞれで違うんだなと見て感じることができました。

◇ワイナリーへの就職を希望する思いを聞かせてください。
竹下さん:市外ですが近隣のワイナリーへの就職を希望しています。そのワイナリーはその地域で初のワイナリーで、これからのその地域のワイン産業の中心になっていくと思っています。高校で学んだことを生かして働き、ワイン産業の振興にも関わりたいと思っています。
大和さん:市内のワイナリーへの就職を希望しています。ワイン造りを通して地域社会へ貢献ができ、働きがいがあると思っています。造るからには、買った人に満足してもらえるワイン、喜んでもらえるワインを造りたいですね。

■高校生と学ぶ「ワイン特区」
◇ワイン特区って何?
酒税法における酒類製造免許を取得するために必要な最低製造数量の要件など、法律の規制が緩和される特別な区域(構造改革特別区域)として認定された地域です。
塩尻市は平成26年6月27日にワイン特区に認定されました。そして、松本市、山形村、朝日村の区域を含めて広域での認定を改めて申請し、令和6年3月22日付けで「桔梗ヶ原・松本ワインバレー特区」として内閣総理大臣から認定を受けました。

◇ワイン特区に認定されると何がいいの?
酒税法の特例により、酒類製造免許を取得するために必要な最低製造数量基準の製造見込数量が緩和され、小規模事業者も製造免許を取得しやすくなります。
また、酒類の販売には製造と別の免許が必要ですが、ワイン特区で認められた製造場内での引き渡し、直営レストランなどでの提供には、販売免許は不要です。
ただし、税務署への製造免許の申請手続きは通常どおりです。

◎果実酒(ワイン、シードル)の場合
最低6キロリットルの製造が必要→2キロリットルに緩和
750ミリリットルのワインボトルで換算すると、8,000本の製造が3,000本の製造に緩和されます。

◇他にもメリットはある?
他にも、ワイン特区のメリットは次のものがあります。
・新規ワイナリーの設立・集積により、ワイン産地としてのブランド力向上
・栽培農家の高齢化、担い手不足の問題の解決につながる
・遊休荒廃農地の未然防止と農地の有効活用
・ワインツーリズムなどにより、他産業への波及効果

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