前回(広報やまがた6月号)までのあらすじ
平成30年度の制度改正以降に新設された事業費納付金(※)を支払うために、山形村では国民健康保険税の税率改正は行なわず、約1憶円あった支払準備基金(※)の取り崩しを行なうことで、これまで財政運営をしてきました…。
用語解説
事業費納付金…制度改正により新たに設けられたもので、各市町村の国保加入者数や所得、医療費の額などにより算出され、県に納付するお金のこと。それをもとに県は市町村に対し、保険給付に必要な費用の支払いを行なっています。
支払準備基金…突発的な保険給付の増加などにより、医療費などの費用の支払いが滞らないように通常の予算とは別に積み立てしているお金のこと。
◆山形村ではどんな問題が起きてるの?
国民健康保険の収支の運営を簡単に表すと、下の図のとおりとなります。
収入が多ければ黒字となり、支払準備基金への積み立て(貯金)をすることができます。逆に、支出が多ければ赤字となり、その赤字部分を補うために支払準備基金を取り崩し(今までの貯金を下ろすイメージ)て、収入に充てることで「収入の方が多い」状態を作り出し赤字を解消します。
もちろん、誰が見ても理想の運営は図の上段の流れですが、山形村の現状は図の下段のようなことになっています。
これは、収入ではコロナ禍以降の保険税収入が著しく減少していること、特定健診などの受診率に応じて交付される公費(県などからの交付金)が少ないことが主な要因として考えられます。
一方で、支出についても、医療費の増加や高額な事業費納付金なども支出過多の要因となっています。
この事業費納付金の増減は、おおざっぱに示すと次のようになります。
以上のように、所得・医療費水準ともに高い水準の山形村においては、事業費納付金が大きく減少する要素が少ない位置にいます。
この事業費納付金の支払いをするのに必要な税率を算出したものが“標準保険料率”で、これを適用させると保険税額を大幅に変更する必要が生じるため、先述のとおり支払準備基金の取り崩しで不足額を補填してきていましたが、収入減少等により想定をはるかに上回る勢いで取り崩しを行なったため、その支払準備基金が令和5年度中に不足することが見込まれます。
次回につづく…次回は、山形村の今後の国保の動きについてお知らせします。
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