文字サイズ
自治体の皆さまへ

心の眼(192)

30/44

長野県東御市

◆無意識に使う言葉の中にも
人権同和教育指導委員 丸山 裕(まるやま ひろし)

私たちは日常生活の中で、人権侵害や差別に関わる問題に直面することは、そう多くはないかもしれません。また、ハラスメントなどで悩んだり憤りを感じたりすることも同様です。
しかし、新聞やテレビ、インターネットなどでは、たびたび人権問題に関わる記事や書き込みを目にします。それらの記事を見るたび、自分も、そうしたことにいつか直面してしまうのではないか、と感じてしまいます。
昨年度、市で主催された「人権セミナー」「人権学習会」等に参加する機会が何度かありました。今まで、新聞などで読み飛ばしてきたかもしれない、さまざまな人権問題に直面し、悩み苦しみながら、一つひとつ問題を解決し続け、連帯の輪を広げながら生活されている方々や、共に活動されている方々。こうした方による生の声を聞くことは、人権課題についてあらためて身近に考える貴重な機会となりました。
私たちが日ごろ無意識に使っている「言葉」でも、それを発する人の意識やシチュエーションによって、誰かを辛い思いにさせる言葉になったり、何でもない日常の言葉になったりするんだ、ということも学ばせてもらいました。
たとえば、「かわいそうだね」「普通の○○」「○○を思いやる」など、私たちはよく使っていると思います。また、ジェンダーに関わって、「女の子らしく」「男のくせに」「女医」「嫁」「父兄の皆さん」など。私たちが何気なく使う言葉には、その背景に、日本文化や生活の中でつくり上げられてきた差別的側面をもつものもある、ということを意識しておきたいと思います。
今年は、能登半島大地震の重大ニュースから始まりました。現在でもまだまだ被害にあわれた方々の状況は深刻です。あるテレビ報道でのインタビュー場面で、地元の方がこう言っていたのが胸に刺さります。「皆さんのご支援はとてもありがたい。でも『頑張れ!』と言われても、俺たちはもうこれ以上頑張れないんだよね。毎日死ぬほど頑張っているんだよ…。」と。
私たちが、さりげなく使う「頑張れ」という言葉が、相手の方にとっては大変に辛い言葉になることもある、と気づかされました。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU