(1)どんぐりエリア(住宅、営業施設)
(2)岩岳遊歩道エリア(トレッキング客)
(3)新田森林エリア(急峻、岩地質、道無く容易に近付けない)
(4)岩岳スノーフィールドエリア(観光施設)
(5)和田野エリア(住宅、営業施設)
1.森林病害虫とは
森林病害虫等防除法第2条に定義されており、樹木又は林業種苗に損害を与える虫を指します。代表的な森林病害虫被害として、ナラ枯れ、マツ枯れがあります。
2.ナラ枯れの状況
白馬村では、平成21年頃に発生し、一旦終息しましたが、令和2年頃から岩岳地区、どんぐり地区等で再発生しました。ナラ枯れは、カシノナガキクイムシが媒介するナラ菌により、ナラ類が集団的に枯損するものです。令和3年より人的被害防止、観光客の安全確保のために住宅周辺や遊歩道周辺の対策をしていますが、道がなく容易に近付くことができない森林での対策が未着手だったため、景観的に対策を望む意見があり、令和5年9月議会で補正予算が可決されました。
林野庁によると、全国のナラ枯れ被害は、平成22年度をピークに減少し、10万立方メートル未満で推移してきましたが、令和2年度には約19.2万立方メートルに再び急増し、令和4年度は15.1万立方メートル、41都府県と日本各地で発生していると発表があります。
3.ナラ枯れ対策会議
9月20日に、長野県林業総合センターの研究員を招き、関係者によるナラ枯れ対策会議を開催し、研究員からナラ枯れの情報提供をいただき、エリア別対策について情報共有しました。
◆ナラ枯れの情報
・江戸時代からある日本古来の森林病害虫(マツ枯れは外来)
・空中散布防除では被害の根絶はできない
・過去事例から自然サイクルなので、終息に5年程度要するが、発生場所が移っていくことはある(カシノナガキクイムシの入る木が無くなるまで続く)
・県内では、平成16年に飯山市、信濃町で確認され、平成22年をピークに減少傾向だったが、令和2年に再び増加している
・他県では、行政主体で処理したが対応しきれなかった事例あり
・最近の研究で、ナラ枯れ被害は標高1,300m超えでも発生、岐阜県の研究では標高780m以上でカシノナガキクイムシの越冬は認められなかったが、温暖化等により変化する可能性あり(研究結果のみで実証はない)
・枯木処理は人身被害等へのリスク管理としては重要だが、全ての処理は不可能。薬剤処理等の防除も重要
◆エリア別対策
(1)どんぐりエリア
(2)岩岳遊歩道エリア
→人的被害防ぐため、*1特殊伐採、*2伐倒くん蒸処理、*3薬剤注入処理を優先的に実施
(3)新田森林エリア
→急峻、岩地質により処理困難だが、景観を考慮するなら、伐倒のみ実施。大径木が密になっており、下部は土砂災害警戒区域指定地なので、現地調査のうえ伐倒木を判断
(4)岩岳スノーフィールドエリア
→エリア内被害木を索道会社が調査。処理方法、費用等を村、索道会社で調整
(5)和田野エリア
→ナラにフラス(木くず)確認。地区が薬剤注入等実施、村が薬剤資材支給
*1特殊伐採:住宅周辺、電線周辺の木を根元から倒さずにクレーン車や専用ロープで伐採する
*2伐倒くん蒸処理:被害木を伐採、玉切り、薬剤散布し、シート被膜する
*3薬剤注入処理:枯れていないナラに専用薬剤を注入、保護する
4.マツ枯れ
アカマツが感染する森林病害虫で外来です。マツノマダラカミキリがマツノザイセンチュウを運び、木に潜入、枯死します。全国的に拡大しており、近隣では松本市から大町市付近で発生しています。夏から秋に掛け、針葉が急速に枯れます。健全なアカマツは幹を傷付けるとヤニを分泌しますが、感染木はヤニ量が著しく減少するか全く分泌しません。冷涼な地方では外見が正常なまま翌年まで生存し、翌春から初夏に枯死する「年越し枯れ」もあるそうです。
マツ枯れ拡大原因は、気温上昇や自動車に付着したカミキリがアカマツに付着するとの情報もあり、村内では、みそら野、めいてつ地区の沿道にアカマツが自生しており、今後注視する必要があります。
お問合せ:白馬村役場 農政課
【電話】0261-85-0766
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