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オブシディアン通信 No.099(2)

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長野県長和町

◇広がる国際交流の視野
黒耀石大使の国際交流事業では、旧石器時代から始まる黒耀石文化を基点として、歴史と文化交流の意義を広い視野から捉(とら)え、今日との繋(つな)がりを考える活動をしています。シーボルトコレクションの調査は、正にその一つです。長和町の「ホシクソ」が元祖(がんそ)黒耀石大使として海を渡ったのは、鎖国(さこく)という制度の下、国際的な交流が制限されていた江戸時代の出来事でした。その後、新しい時代を迎え、外交が盛んになるうえでシーボルトが伝えた日本の文化が、国際的な理解を得る大きな役割を果たしたとされています。同じように、未来を担(にな)う子どもたちの交流は、様々な課題を抱(かか)える日本と世界にとって、かけがえのない宝物になると期待することができます。
交流先のセットフォードは、共通する新石器時代(日本の縄文時代)のフリント鉱山と共に、中世の街並みや歴史遺産を大切にする町でもあり、この交流事業でイギリス側の中核を担っているエンシェントハウスミュージアムも、中世(ちゅうせい)の伝統建造物を博物館として活用しています。ここで活動するティーンエイジヒストリークラブの子ども達も、身近にある歴史の出来事をきっかけとして、疑問に思ったこと、興味を持ったことを調べたり話し合ったりしています。そうしたつながりの中で、今回は一緒にケンブリッジ大学図書館を訪問することになりました

◇中山道最古の写真を訪ねて
ケンブリッジ大学とは、一つの大学ではなく、それぞれ独立した運営をしている31のカレッジ(学寮(がくりょう))で構成されています。今回は、まず初めに、その一つであるガートンカレッジの施設見学と、セインズベリー日本藝術研究所の支援により、昼食に学食を利用させて頂きました。
午後は、イギリスでも3番目の規模を誇るケンブリッジ大学図書館で、中山道最古の写真の閲覧(えつらん)をさせて頂きました。未成年者の入館は、特別な許可を頂いてのことです。今はその姿が残っていない笠取峠の茶屋とその背後に浅間山が写る中山道最古の写真は、明治15年にイギリスの探検家であるヘンリー・ギルマールが中山道を旅した際に、日本の写真家に撮影(さつえい)させ、イギリスに持ち帰ったものです。日本各地で撮影され、図書館に収蔵(しゅうぞう)された写真は、日本人研究者の手による『ケンブリッジ大学秘蔵明治古写真:マーケーザ号の日本旅行』という本にまとめられ、ギルマールの日誌から当時の様子が解説文として紹介されていますが、今回の閲覧では、ギルマールの日誌とされるメモ帳も見せて頂きました。
分析結果については、機会を改めてご紹介したいと思います。

■分布調査実施のお知らせとご協力のお願い[長久保地区~大門地区]
町の歴史を歩いて調べる遺跡の分布調査(ぶんぷちょうさ)
教育委員会文化財係では、国・県の支援のもと、平成26年度から町の全域を対象に遺跡の場所や範囲を確認するための分布調査を行っています。10年目となる今年は、長久保地区の南端からから入大門・小茂ヶ谷集落を目指して踏査(とうさ)をさせて頂きたいと存じます。
国が定める文化財保護法では、遺跡のある場所での開発を行う際は事前の調査が必要とされています。遺跡やそこから発見される土器や石器などは、この列島に生活する国民共通の祖先が残したものであり、その歴史や伝統を知り、未来に伝えることは、様々な困難を乗り越える指針となりえます。また、近年では、ふるさとへの愛着や誇りを守るまちづくりの財産として積極的に遺跡を保存・活用する取り組みがさかんになっています。
あらかじめ、遺跡の位置や概要を把握しておくことは、開発の計画段階で遺跡への影響を最小限に留めるための協議が行いやすくなり、町の大切な歴史を守り伝えるとともに、市民の生活に必要な開発計画の実現とその工事に先立つ発掘調査を効率的に進めることにも繋がります。
遺跡の場所を調べる分布調査は、作物に影響が及ばない秋から冬にかけての時期を選んで、地表面が見える田畑を中心に歩き、土器や黒耀石の石器などが落ちている場所を探します。腕章(わんしょう)をつけた文化財の調査員がお伺いしますので、耕作地(こうさくち)への立ち入り等、ご理解とご協力を頂きたいと存じます。どうぞ、よろしくお願い致します。
昨年の冬に踏査させて頂いた長久保地区につきましては、新たな遺跡の発見と共に、古くから知られていた片羽遺跡などの範囲と現在の様子を確かめることができました。現地にてお話をお聞かせ頂き、ご協力を賜りました地域の皆様には、この場をお借りして心より御礼申し上げます。
※詳細は本紙またはPDF版をご覧下さい

◇遺跡の発見についてよくある質問
「遺跡が発見されると、家を建てられなくなるのですか?」とか、「発掘の費用がかかりますか?」という質問を頂く事があります。遺跡のおかげで、念願(ねんがん)のマイホームが実現出来ないということは決してありません。ただし、地面を大きく削けずって造成(ぞうせい)したり、地下室などを計画されている場合は、事前に発掘調査をさせて頂くことがありますが、個人に金銭的な負担(ふたん)をかけないために、その費用は、国や町が対応することになっています。
一方、企業等が大きな工場を建設したり、公共事業で施設建設や道路整備、また造成事業を行う場合は、その事業の主体者(しゅたいしゃ)に発掘調査と記録保存の整理作業に関する経費の負担をお願いする仕組みとなっています。いずれにせよ、発掘調査等は、町の教育委員会が文化財の保護(ほご)業務として行う責任を担っておりますので、ご質問等がある方は、遠慮なく教育委員会の文化財担当にご連絡ください。発掘調査を行う場合には、迅速(じんそく)に対応できるよう、その準備も重要となりますので、早めのご確認を頂きたいと存じます。

問合せ:長和の里 歴史館
【電話】88-0030

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