現在、日本人の2人に1人は一生のうちで何らかの「がん」になると言われ、3人に1人が「がん」で亡くなっています。がんは、すべての人にとって身近な病気です。しかし、一口にがんと言っても、がんの種類や見つかったときの状態などにより、病状や経過はさまざまです。
そこで、今回は乳がん、肺がんの特徴と検診の重要性を信州医療センターの医師から伺いました。
ピンクリボンは乳がん、パールリボンは肺がんの啓発マークです
■乳がん
信州医療センター
名誉院長 寺田克(てらだまさる)医師
〔Q〕乳がんはがんの中で多い病気なのでしょうか?
〔A〕乳がんは女性の中では最も多いがんです。一生のうちに9~10人に一人がなる可能性があると言われていますね。(下グラフ参照)
◇部位別がん罹患(りかん)数(2019年)
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
〔Q〕死亡率は高いのですか?
〔A〕死亡者数で言えば大腸がん、肺がんなどが上位で乳がんは5番目くらいですね。罹患(りかん)数から見ると少ないです。早く見つかればきちんと治る方が圧倒的に多いです。
〔Q〕年齢は関係ありますか?
〔A〕罹患(りかん)率をみると30歳代から増え始めて、マンモグラフィ検査が始まる40歳代でぐっと増えています。若い方では悪性度の高い乳がんが多いと言われています。(下グラフ参照)
◇年齢階級別罹患(りかん)率(2019年/人口10万人対)
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
〔Q〕自覚症状はあるのですか?
〔A〕乳がんの特徴は「痛みが出にくい」ことです。乳がんで「痛い」と自覚した時はかなり進行している場合があります。症状がないうちに見つけることが大切です。
〔Q〕日頃から気をつけることはありますか?
〔A〕ブレスト・アウェアネスという言葉があります。乳房を意識する生活習慣、という意味ですが、自分の乳房の状態を知る、変化に気を付ける、変化に気付いたらすぐに医者へ相談する、40歳になったら検診を受ける、こういった意識を持っていただくといいですね。まずは入浴時に体を洗う際にご自身の乳房を見て、触って乳房を意識してみてください。
〔Q〕マンモグラフィと超音波の違いはなんですか?
〔A〕マンモグラフィは1枚の写真で片方の乳房の全体を見ることのできるエックス線検査です。超音波検査は超音波ビームで乳房の断面を描出する検査です。どちらが優れているということではなく一長一短です。40歳以降はマンモグラフィを2年に1回受診するようになりますが、超音波検査と交互に受けることでそれぞれの弱点をカバーすることができます。
乳がんは気付きにくいので、早めに発見して治療できるよう検診を受けてください。
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