■肺がん
信州医療センター院長補佐 副診療部長
呼吸器外科部長 救急部長 坂口幸治(さかぐちこうじ)医師
〔Q〕肺がんは死亡率が高いがんなのでしょうか?
〔A〕そうですね。肺がんは現在日本で最も多く亡くなるがんです(下グラフ参照)。
進行が早くて転移しやすいことなどが理由として考えられます。自覚症状が現れた時には既に大半が進行がんです。
〔Q〕肺がんはどのような症状が出てくるのですか?
〔A〕肺がん特有の症状があるわけではありません。咳(せき)や血痰(けったん)などの症状が出る場合がありますが、肺がんは進行すると全身に転移してしまいます。肺やリンパ節、脳、骨に転移しやすく、さまざまな症状が出てきます。
〔Q〕男性の喫煙者がなりやすいイメージがありますが…
〔A〕喫煙の影響は大きいと思われます。これまで日本は喫煙に寛容な社会でしたが、近年は対策を進めたこともあり、喫煙者は減少しています。将来的には肺がん患者も減ってくると思われますが、今はまだ多いですね。
〔Q〕加熱式たばこへ切り替えれば予防になりますか?
〔A〕たばこの葉を燃やさない加熱式たばこは歴史が浅いので統計的根拠はまだありません。
そもそも肺がんの予防方法というものは現時点ではありません。
◇部位別がん死亡数(2020年)
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
〔Q〕何歳くらいから肺がんになりやすいのでしょうか?
〔A〕年齢別に見ると50歳以降で肺がん患者数が増えてきています(年齢階級別罹患率グラフ参照)。がん自体は加齢とともに発症しやすくなるので、高齢者になると肺がんになりやすい傾向があります。
〔Q〕肺がんの治療は主に手術となるのでしょうか?
〔A〕手術の治療成績は良いです。しかし、苦しい・痛いなどの自覚症状があった場合には、手術治療の選択はできない場合が多くなります。肺がんの生存率は他のがんよりも低いので、早期に治療することが重要です。早期に発見して治療するために検診が必要になってきます。
〔Q〕市の検診はCT検査ですがエックス線検査との違いは?
〔A〕肺がんを見つけやすいのはCT検査です。精密な検査ですので頻繁には行えませんが、エックス線検査の10倍肺がんを見つけやすいと言われています。ただし、肺がん以外の病変も検出される場合があります。
須坂市では40歳から2年に1回、CT検査が受けられますので、ぜひ検診を受けてほしいですね。
胸部のエックス線検査は胸部全体を評価するには良い検査で、当院ではコンピューター画像診断支援システムが導入されており、胸部エックス線検査でも異常陰影を発見しやすくなっています。
〔Q〕市民の皆さんへ一言を
〔A〕肺は他の臓器に比べると、か弱い臓器なので、大切にしてあげてください。「見守る」という意味で定期的な検診を受けましょう。
■2024年度各種健康診査の申込期限は2月9日(金)
2024年度に実施する各種健康診査の対象となる世帯には、「各種健康診査申込書(はがき)」が封入された封書を1月中旬に郵送します。対象となるご家族分を掲載していますので、ご希望する健診欄に○をして、申込書を郵便ポストに投函してください。
※対象の健診がない世帯には、申込書を郵送していません。
申込期限:2月9日(金)必着
問合せ:健康づくり課
【電話】026-248-9018
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