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シリーズ 飯山城下町を歩く

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長野県飯山市

城の重要な要素のひとつに井戸があります。江戸時代前期に作成された『正保の城絵図』をみると飯山城内には5カ所に井戸が設置されていたことが分かります。現在すべての井戸跡は明らかにされていませんが、南中門(みなみなかもん)をくぐって三の丸へ向かう途中にある桜井戸跡と、さらに三年坂を上り三の丸に入ってすぐ南手にある水場のあたりは井戸があったと推定できます。
桜井戸には、鎌倉時代に追手を逃れて終生の地を求め飯山の小丘にやってきた泉小次郎親衡(ちかひら)が、水を求めて祈願しながら桜の木の根元を掘ると水が湧き出たという伝承があります。以来この場所を桜井戸とよんで歴代城主が大切に保護してきたと伝えられ、昭和7年には井戸上に桜井戸跡碑が建立されました。飯山藩士であり画家でもあった佐久間雲窓が描いた『飯山城』は飯山城を鳥瞰(ちょうかん)で伝える絵であり、画面中央に桜井戸と思われる井戸が描かれています。これらの資料や発掘調査によって分かった井戸の位置とおよその大きさをもとに、井戸跡に上屋(うわや)を復元する整備が行われました。桜井戸跡は往時の飯山城を想起させる復元遺構のひとつとなっています。

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