■常盤地区農業再生センターの取り組みについて
農地利用最適化推進委員 中原義行
常盤地区農業再生センターが令和2年に農業就労調査を実施したところ、回答者の平均年齢が69歳で「後継者がいる」との回答が13%と、担い手の減少と遊休農地の拡大が懸念されました。これを受けて令和4年に稲作検討委員会、畑作検討委員会、農地利用調整委員会の三委員会を設け、次世代に引き継げる地域農業の再生に向け活動を始めました。稲作および畑作検討委員会の委員は各集落から選出し、農地利用調整委員会の委員は農業委員と農地利用最適化推進委員が努めます。
稲作検討委員会では主に「小作料の見直し」「用排水路の老朽化への対応」について意見が出ました。
小作料は貸し手と借り手の代表が協議して目安を決め、地域の皆さんにお知らせしました。今後は残りの課題を議論する予定です。
畑作検討委員会では多くの意見が出ましたが、早急に解決する課題として遊休荒廃地対策に取り組み、景観形成も含めた緑肥の栽培を進めることになりました。今年は各区に二種類の緑肥(クリムソンクローバー、ヘアリーベッチ)の種を配り、地域への普及を図ります。今後は「新規就農者を含めた担い手への支援」「定年帰農者・兼業農家への支援」「道の駅を軸とした農業」など幅広い観点から、儲かる農業の実践に結び付くよう議論していく予定です。
農地利用調整委員会では国が進めている『地域計画』策定に向けて、稲作および畑作検討委員会とともに、貸借圃場の耕作者がわかるよう色分けした現況地図を作りました。水田は貸借の割合が5割を超え、入り組んで耕作している状況が確認できました。大規模稲作農家の皆さんからは、「個人ごとの集約は難しい。色分けできない部分を今後どうするかではないか」「大区画水田に再圃場整備をすれば集約してもよい」「老朽化した水路の更新が必要」などの意見が出ました。畑は今後も利用する区域と除外する区域を確認し、利用する区域では担い手の皆さんを明確にするところまで進みました。
今後、地域計画の素案を作り、農地の貸し手を含めた地域の皆さんの意見を聞く機会を設け、調整しながら地域計画の策定を目指します。まずはスタートし、問題が生じたら修正を加え前に進めればと思います。
※緑肥とは…
土壌を肥沃にする目的で栽培され、収穫せずに土にすき込んで肥料にする作物
■あしあと 3・4月の活動記録
3月8日
・農地相談
・農業委員会役員会
27日
・3月農業委員会総会
4月10日
・農業委員会役員会
25日
・4月農業委員会総会
・学習会
■あぜ道だより
瑞穂地区農業委員 増山正一
瑞穂の柏尾区と北原区からなる北端地域は、水の無い村のため、昔から野沢温泉村から水路を引き水田耕作が行われてきました。村の中では、南組水路(上組水路)と北組水路(柏尾・北原水利組合)に分かれています。南組水路はJA野沢温泉支所横の水路から野沢温泉村の前坂および重地原を通り、柏尾へと水が引かれています。夏には水量不足になるため、三カ所に堤を作り対応しています。この水は柏尾区南組だけでなく、重地原と瑞穂地区の屋株でも利用しています。
北組水路は、野沢温泉村下水道終末処理場近くの赤滝川大口取水口より水を引く、約4・5キロメートルの水路です。北原区および柏尾区北組の水田はこの水で水田耕作が行われています。
水の無い村のため、南組および北組には、それぞれ村の三役として水配人が置かれています。また、南組は約600年、北組は300年の歴史があります。
私は、南組水路の水で50年水田耕作を行ってきました。田んぼは水路の末端にもあり、夏の水が必要な時には水路が干上がってしまうこともありました。うまく作れる年もあれば全くダメな年もあり、安定して作ることは難しかったです。
ここ数年は腰痛のため水田作業は難しいものとなり、現在は屋敷の畑で自家用の野菜などを作っています。白いとうもろこしのピュアホワイトは柔らかい上に甘く、これをおすそ分けすると大変喜ばれています。
若者世代の農業離れが進み遊休農地が広がっている現状で、作り方が簡単で利益の出る作物を探っていますが良いものは見つかりません。何かを探さなければいけないと思っている日々です。
■新規就農者の情報交換会を開催しました!
就農して10年以内の農業者が実践事例を共有して、農業経営に生かすためのネットワークづくりを目的とした「新規就農者情報交換会」が開催されました。
第1部のパネルディスカッションでは、中小企業診断士の長谷川正之さんをコーディネーターに、令和2年から令和4年までに新規就農された3名のパネラーとトークセッションを行いました。パネラーを務めたのは次の皆さんです。(※詳細は、本紙またはPDF版をご覧ください。)
3人はJAの花卉部会の青年部に入り、先輩との交流の中で知識を深めるとともに、市場での情報収集や、近隣の農家で野菜の栽培方法を聞いているそうです。
また、彼らは農閑期には斑尾高原スキー場で働く仲間でもあります。夏場にスキー場やホテルで働くスタッフを農家で受け入れることができないか考え、品目の同じ農家同士がチームを作り、週替わり・日替わりで雇えないかなど検討しているそうです。
3人の「人手が足りない。」という意見に対し、就農して10年になる岡忠農園の岡田忠治さんから「夫婦2人で生産・出荷していたが、4年目に人を雇用した。人件費をかけただけ作業効率も上がり収入につながる。」とのアドバイスがありました。そして第2部の情報交換会では、具体的にスマホを用いた人手確保の方法をご指導いただきました。
冬場も同じ場所で働きながら、目標や悩みなど語り合う中で互いに助け合う、素晴らしい関係が築かれています。仲間との交流を今後の生き方や地域の活性化につなげて、飯山市の農業がさらに発展していくことに期待します。(情報委員会 佐藤弘子)
問合せ:飯山市農業委員会
【電話】0269-67-0729(直通)【FAX】0269-62-6221(2階代表)
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