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マイオピニオン 意見・私見

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長野県飯山市

■まもりたいもの富倉地区
地域おこし協力隊 広瀬大司

▽マンションの現状
今年3月、兵庫県明石市から移住し、滝ノ脇(富倉)の住民となってから、はや半年が過ぎました。現在は、地域おこし協力隊に任命いただき、主に郷土食の伝統継承と、地域の見守りに関わる仕事をさせてもらっています。
移住前は、マンション管理業界で働いていました。マンションでは、購入した方それぞれが所有する部屋(専有部分)以外に、共用部分(外の廊下や照明、集会室、エレベーター、植栽等)と呼ばれるものがあります。共用部分に関わる費用として、光熱費の他、清掃や設備の維持管理費、また、管理員さんの人件費などが発生し、管理費という名目で各戸から徴収し、それらにかかる費用を賄います。また、管理費とは別に、修繕積立金として、将来の大規模修繕、各種配管や設備の更新に備えるための費用を計画的に集め、急にお金を徴収することが無いようにしています。
また、マンションの所有者全体で管理組合を結成し、次年度の事業計画案や予算案の他、当該年度の事業報告や決算報告を総会に諮(はか)り、多数決で物事を決める流れになっています。その際、毎年、理事会役員を選出し、その役員が年度の代表者として、土・日曜日の日中や、平日の夜間に集まって実務会議(理事会)を開催しています。
多くの場合、実務は専門業者である管理会社に委託し、理事会で管理会社から業務報告を受ける形態をとっています。
中には管理会社に管理組合としての仕事を任せず、自分たちで運営している(自主管理)マンションもありますが、それらを含めて、多くのマンションでは高齢化、賃貸化が進み、役員の担い手が少なくなってきているのが現状です。
一方で、今の自宅がある富倉は、現在40世帯。中には施設等に入所されていて、お住まいになっていない住戸もあるため、実際にはさらに少ない世帯数です。また、住民の高齢化が特に進んでいる地域でもあるため、区長をはじめ、各役職を担(にな)う方を選出するのにも一苦労といった状態です。
これには、全国的に核家族化が進み、“家”を代々受け継ぐ風習が薄れ、子は独立すれば新たに“家”を構えることが多くなったことも影響していると思います。

▽富倉の現在
富倉にも、マンションで言う共用部分があり、山の畑につながる道や外灯、公会堂などが相当します。“おてんま”と呼ばれる道普請をはじめ、道路の草刈りなど、それら共用部分の維持管理には、住戸所有者のご家族として、富倉に住んでいない方も参加されており、富倉に対する皆さんの愛着を感じています。
しかしながら家屋については、先にふれたマンションと違って、個々のものですから、維持管理も個人の責任、判断においてなされており、放置されたまま、劣化が進んでいるところも見受けられます。
山菜まつりやそばまつりが開催されなくなった頃から家屋の取り壊しが増え、昭和の時代までは170世帯に及んでいたという富倉地区も、現在はその2割強にまで減っています。

▽まもりたいもの
16年前、初めて食べた富倉そばに感銘を受け、その後、数々のご縁に導かれて、今ここで生きています。山菜やキノコなどの天然資源、過去からの伝統文化などと同様に、自分が好きなこの里山の風景も、ここに住まなくなった方々とともに協力しながら、ぜひとも後世につないでいきたいです。

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