ここ数年で耳にする機会が増えたSDGs(Sustainable Development Goals)という言葉。持続可能な社会を実現するため、世界共通の17のゴール(目標)と、それを具体化した169のターゲットから構成され、2030年までの達成を目指して世界中が動き始めています。
学校教育や企業の活動にも取り入れられるなど、その存在はポピュラーなものになりつつありますが「言葉は知っていてもどう取り組めばいいかわからない」「ハードルが高そう」と、自分ごととして捉えられない方もいるかもしれません。しかし、SDGsに当てはまる行動は、身近な場面にも存在しています。これから紹介する「おもちゃの修理屋さん」もそのひとつ。今回は、ものを直しながら長く大切に使う「私のお宝自慢」や、町内で行われているリユースandリサイクルの取り組みなど、SDGsの目標「つくる責任、つかう責任」にちなんだ活動もあわせて紹介します。
暮らしの中で少し意識を変えれば、あなたもSDGsの目標達成に貢献できます。より良い未来のために、まずはできることから、はじめの一歩を踏み出してみませんか。
■Interview「わぁ!動いた!」子どもたちの喜ぶ顔が原動力に
おもちゃの修理屋さん
大沢悦男さん(出原)
渡邉正一さん(下市田)
近藤定男さん(飯田市)
◇壊れたおもちゃに再び命を
大切にしているおもちゃがうまく動かなってしまったとき、どうしていますか?壊れてしまったおもちゃを修理し、新たな命を吹き込んでくれるボランティアグループがあります。元NTTの技術職OBにより結成された「おもちゃの修理屋さん」。高森町子育て拠点施設あったかてらすや、飯田市のかざこし子どもの森公園を会場に、持ち込まれたおもちゃの修理を受け付けています。
「NTTの機関紙で、同じような活動をしている団体の記事を目にして『これはいいな』と思ったのがきっかけです。OBが集まる飲み会の席で『誰か一緒にやらない?』と声をかけ、最初は5人からスタートしました。現在は代から代まで11人が所属しています。もともと機械いじりをするのが好きな面々ですから、自分たちも楽しみながらやっていますね」と話してくれたのは、活動の発案者でもある渡邉正一さん。
平成29年の7月に活動をスタートし、これまでの7年間で受け付けた修理依頼は実に1000件以上。基本的には、預かったその日のうちに治療(修理)を行いますが、時間がかかるものは入院(お預かり)してさらに手を加えます。すべてのおもちゃが直るわけではありませんが、およそ90%は再び動くようになるといいます。
また、特別な部品が必要になった場合は、数百円程度の実費をもらうこともありますが、原則的に修理費は無料。これまで、基本的な部品や道具などは個人負担で行ってきましたが、昨年から高森町の「町民主体のまちづくり活動支援事業」に申請し「補助金を経費に充てることで活動がしやすくなった」と話します。
壊れ方によっては修理が難しく大変なものもありますが「もともと技術屋のメンバーが集まっているから、やり始めると『なんとかして直そう』と熱くなっちゃう。技術屋としての気概があるから直らないからってポイッと捨てるわけにはいかないんだよね」と大沢悦男さん。「それに、直ったおもちゃを手にしたときの子どもたちの笑顔を見るとやっぱりうれしい。それこそが、みんなの原動力になっています」と笑顔で話してくれました。
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