■むつ総合病院運営改善座談会
むつ総合病院では、地域医療を守るべき公共性と安定して経営できる経済性の両立を図るため、「NPO法人病院経営支援機構」の協力のもと運営改善へ向けた取組を進めています。今回は同法人の合谷理事長を迎えて開催された座談会の様子をご紹介します。
・NPO法人病院経営支援機構
理事長 合谷 貴史(ごうや たかし)
NPO法人病院経営支援機構を2009年に設立。全国の診療所から大学病院まで幅広く病院経営支援事業を展開し、令和6年度からはむつ総合病院にて活動を推進している。
・副院長…葛西 雅治(かさい まさはる)(内科)
・副院長…中畑 徹(なかはた とおる)(小児科)
・副院長…福田 陽(ふくだ あきら)(整形外科)
・医療局長…山田 恭吾(やまだ きょうご)(外科)
◇地域医療を守るために
合谷氏:まずはどんなことを病院として実践していくべきだとお考えでしょうか?普段感じている課題などがあればお願いします。
松浦院長:課題としては看護師不足があげられます。自分のこどもにむつ総合病院で働いてほしいと思ってもらえるような病院づくりが大事で、それができないことには地域医療を守ることはできないと感じています。
合谷氏:そのためにはまず職員の人たちがここで生き生きと働く、働きやすい病院にしていくことかなと思いますが、そのためにはどうすれば良いと思いますか?
葛西副院長:八戸学院大学の看護学科がむつ市に設置されますよね。地元の若い人に医療従事者となってもらえるように、早いうちからの働きかけが重要かなと思います。そこに関連して感じているのは、職員はみんな良い考えを持って動いているはずなのに病院全体が誤解されているような印象を受けることがあります。こどもを含め市民の方に医療職を知ってもらうことで、それも解消されていくのではないかなという思いもあります。
中畑副院長:小児科の視点では、こどもが入院するときの付き添いや留守番などのサポートがあれば、安心して入院させてあげられるのにと感じています。少子化や核家族化が進む中で、安心して子育てできるよう支援していければ良いのかなと思います。
合谷氏:待ち時間が長いと悪い印象をもたれがちですが、そこも解消していきたいですね。むつ総合病院の待ち時間が長い主な要因としては、同日に複数科を受診できること、駐車場の場所や台数の問題から病院での滞在時間が長くなること、公共交通機関で受診しやすいこと、の三点が挙げられます。もちろん待ち時間を減らすことや待ち時間を感じさせないという施策は必要かと思いますが、こどもたちへの働きかけとあわせて例えば「市民の皆さんとの語ろう会」を開催するとか、お互いの距離を縮めることも理解してもらうためには重要だと思います。
◇DXによる医療の進歩
合谷氏:オンライン診療、遠隔診療支援の取組によって地域医療の未来はどのように変わっていくと感じているかご意見をお願いします。
福田副院長:整形外科はどうしても対面での外来が多い診療科ですので遠隔での画像診断などの支援はより良い治療法の提供として患者さんにとって良いこと
なのではと感じています。
山田医療局長:オンラインや遠隔診療の支援があれば高齢化が進む中で通院が難しい方の負担が減ります。遠隔医療であれば将来的に手術ロボットの導入を視野に入れることで、大学と共同で手術をすることも十分可能になってくるのではと思います。
合谷氏:DXを活用した技術で医療は大きな進歩と変革を遂げていきます。自治体病院として地域基幹病院として担う医療を提供し続けるために看護師などの医療職の確保や少子高齢化への対応と同時に、市民から信頼される病院を目指し今回出た課題を改善できるよう皆さまのご協力を得て運営改善に努めていきたいと考えていますのでよろしくお願いいたします。
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