■季節のジオだより Vol.11 釜臥山
四季折々多彩な表情を見せる釜臥山。見る場所、見る時期、見る時間によって異なる魅力があります。皆さんそれぞれに「私の釜臥山」があるのではないでしょうか。
釜臥山は恐山火山を構成する峰々の中の最高峰で、標高は878mです。約80万年前に噴火したと推定されていますが、活発な活動により山頂には溶岩円頂丘(溶岩ドーム)ができ、裾野には噴出物が堆積して火山麓扇状地が形成されました。
釜臥山にはスキー場がありますが、ゲレンデはこの火山地形の特徴をうまく利用して作られています。
山頂付近の急激な盛り上がり部分は溶岩ドームにあたりますが、雪も付かず、岩が露出しているところも見えます。さすがにそこにゲレンデはできません。樹木が広がる山腹はマグマが冷え固まった火山の山体にあたりますが、適度な斜度がありますので、中・上級者向けのコースが作られました。その手前に広がるのは、軽石や火山灰が堆積してできた火山麓扇状地です。傾斜が緩く、広さもありますので、初心者向けや子ども向けのコースが作られました。 第2リフトの脇から見上げると、そうした釜臥山の火山としての特徴とゲレンデの関係がよくわかります。
一方、第1リフトでスキー場の頂上まで行き、上から見おろすと、芦崎の全体像が見えるほか、尻屋崎、田名部平野、斗南ヶ丘、中野沢と、下北ジオパークの見どころを含む見事なパノラマが広がります。
このように、火山地形の変化を体で感じながら海に届かんばかりに麓まで滑り降りることができ、下から見上げても、上から見おろしてもジオを満喫できるスキー場は他にないと思います。暖冬少雪の今年は、リフトの運行状況を確認する必要がありますが、スキー場に行った際には、ジオも楽しんでみてはいかがでしょうか。
■今月のジオ図鑑
釜臥山:恐山をなす蓮華八葉(釜臥山、大尽山、小尽山、、北国山、屏風山、剣山、地蔵山、鶏頭山)の一つ
~point!~
・水源地公園の堰堤に使われた石は、釜臥山の安山岩
・大湊湧水は、釜臥山の火山麓扇状地を抜けて湧き出した水
・芦崎を形成したのは、釜臥山系を流れ下った土砂
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