■この地に大湊地方隊があることがジオそのもの
市長:最初に、近藤総監もよくご承知のことですが、大湊地方隊がこの地にあることを考えたとき、その思考自体がジオパークに繋がります。
大湊港は、背後の釜臥山や陸地に囲まれていることから風や波が遮られ、何と言っても自然の良港です。海軍の拠点としても適しており、釜臥山を源流とする澄んだ水も、海軍の発展に欠かせなかった要素といえると思います。そして、ジオサイトにもなっている芦崎の「砂嘴(さし)」は、鳥のくちばしのように湾内に伸び、自然の防波堤としての役目を果たしています。
こうして考えると、芦崎というジオサイトが、地域と大湊地方隊を引き合わせ、大湊、ひいては下北に文化と繁栄をもたらしたといっても過言ではありません。
歴史的背景を知り、価値を見つめ直すこと自体がジオパーク活動そのものです。こうした観点を踏まえて、地域の皆さんに伝えたいことなど、今日は是非、近藤総監の想いをお伺いしたいと思います。
総監:よろしくお願いします。
■私たちの仕事は「日本」を未来のこどもたちにつなぐこと
市長:ジオパーク全国大会では下北管内から1000人を超える児童生徒の参加が予定されていて、今までも現地学習を始め学習活動発表会など、こどもたちの輝く姿が下北ジオパークの魅力の一つでもあります。ジオパークと海上自衛隊とこどもの関わりについて思うことはありますか。
総監:市長がおっしゃるように、海上自衛隊との関わりというよりも、自衛隊の存在意義と目的がジオパークの活動と全く重なってる、シンクロしているなっていうのはすごく思います。やはり日本の自然、そして思いやりの心とか礼儀正しさとか、この美しい景観というものを未来のこどもたちにつないでいくのが私たちの仕事かなと考えています。
市長:そういった中でこどもたちがどんな発表をしてくれるか楽しみですね。発表もそうですが、全国からこどもたちが集まってきますので、学んだことを持ち帰ってどんどん発信してくれればありがたいなと思います。
■全国大会の目玉「湾内クルーズ」
市長:ジオパーク全国大会では「Mmm!(まんぷくまさかりまーけっと)」にも大湊地方隊の皆さんに参加していただいていますが、どのようなプログラムを予定していますか?
総監:まだ船の種類は決めていないんですが、湾内クルーズが目玉ですね。あとは艦艇の公開、そして海自カレーの試食、音楽隊の演奏を楽しんでもらおうかなと考えています。来る方に対して『下北には海上自衛隊があるんだな』ということを少しでも感じてもらえれば良いなと思っていますね。
市長:そういった意味ではエクスカーションツアーで海上自衛隊の基地の中に入らせていただきますが、地域の皆さんもなかなかない機会ですし、もちろん全国の皆さんにも体験してもらいたいと思います。
大湊地方隊とのつながりで、こうして近藤総監の想いもあって湾内クルーズができるというのは、私としても本当にありがたいです。基地の運営や関連企業の活動によって、地域の雇用にもつながっていますし、基地の存続で地域経済にかなりの貢献もしてくださっていますから、今後もお互いに良い関係性を築いていきたいです。
湾内クルーズでは、普段見られないような景色が見られるかと思いますが、近藤総監からここが見どころだというところはありますか。
総監:やはり大湊地方隊の沿革といいますか、そういうものを感じてほしいなと思います。大湊基地は津軽海峡防備のため、旧海軍横須賀鎮守府所属の大湊水雷軍が開庁したことに始まり、軍港として発展してきました。港湾の南西部には、大湊航空基地も整備されています。芦崎という、全国でも珍しい地形とともに、防御の観点から運用しやすく基地がそこに位置しているという、ジオパークと大湊地方隊との歴史ももっとたくさんの方にうまく伝えられるといいなと思います。
■隊をあげて、全面協力することを誓います!
市長:ジオパークの保全活動ということで近藤総監には脇野沢の牛の首から始まり、中野沢、大畑の桜ロードとご協力いただき、感謝いたします。
総監:私はもちろんなんですが、よく隊員と、『こういう活動をするとゴミはもう絶対捨てられなくなるね』という話をしています。今までも捨てていたわけじゃないですが、そういう気持ちがさらに強くなるので、他の方々も活動に参加していただければ自ずと捨てられない気持ちが強くなるので、いいんじゃないかなと思います。
市長:大湊地方隊の皆さんだけではなくて、航空自衛隊の皆さんや本当にたくさんの方に来ていただいてますし、今年はかなりの回数大湊地方隊の皆さんと清掃活動をさせていただきましたから、全国の皆さんに綺麗な下北半島をお見せできるのではないかなと思いますね。
総監:そうなんですよ。ぜひ見ていただきたいですよね。
市長:全国大会では、こどもたちだけでなく、大人も一生懸命やっている姿をこどもに見せられる大会にもしたいなと思います。そのためにも是非本番に向けて海上自衛隊の皆さんのご協力もいただきながら、一緒に頑張りたいと思います。本日は貴重なお時間をいただき本当にありがとうございました。
総監:ありがとうございました。
大湊地方総監部
第51代地方総監 近藤 奈津枝 海将
山口県岩国市出身
海自艦船補給処管理部長、大湊地方総監部幕僚長、海自第4術科学校長などを歴任北の護りを担う大湊地方隊のトップとして日々訓練や任務に邁進される傍ら、ジオパークの活動に際しては日頃より積極的にご尽力いただいています。
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