■早期発見早期治療は命への思いやり「忍び寄る心房細動に要注意」
寄稿:櫛引基さん(青森県立中央病院 循環器内科部長)
心房細動は、心臓の動きが不規則になってしまう不整脈の一種です。治療が必要な不整脈のなかで最も多く、高齢になるほど多く認められます。この状態では、心臓が効率的に血液を送り出せなくなり、心臓の上部にある心房の血流が滞る状態となります。主な症状には動悸、息切れ、めまいなどがありますが、約4割は無症状であります。
心房細動の合併症として最も注意すべきは脳梗塞です。心房内で血液が滞ると血栓(血のかたまり)ができやすくなり、これが脳に飛ぶと脳梗塞を引き起こします。また、長期間続くと心不全のリスクも高まります。
治療方法は主に2つあります。まず、薬物療法です。抗不整脈薬や抗凝固薬を使用して、心房細動の発作を抑えたり、血栓の形成を防いだりします。次に、カテーテルアブレーションという手術があります。これは、カテーテルを使って異常な電気信号を発している部分を焼灼(焼いて治療すること)し、心房細動を治療する方法です。
心房細動は適切な治療と管理で合併症のリスクを大幅に減らすことができます。早期発見には定期的な健康診断を受けること、また検脈(脈拍を測ること)が有効です。症状がある場合や心房細動が疑われる場合は、早めに医師に相談することが重要です。
問合せ:青森市医師会
【電話】017‒777‒1501
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