■ペリー艦隊が来た!
ペリー艦隊が日本に来た主な目的は国交を結ぶための条約交渉でしたが、同時に日本で見つけた数多くの動植物を記録、採集し、世界に報告することで自然科学の分野でも大きな功績を残しました。
遠征記の挿絵画家として知られるハイネは、標本採集のため下田の山中に入り、親子連れのキジを見つけますが、その美しさに思わず目的を忘れてしばらく見入ってしまったと記述しており、後で精細なスケッチを描いています。
また、下田沖の神子元島が営巣地のカンムリウミスズメという小さな海鳥は、現在では国の天然記念物に指定されその数は減少していますが、この頃は下田港近辺でも普通に見られたようで、同じくハイネが標本として2羽採集したという記録が残っています。
■日本で「発見」された動植物
近代の生物学では、生き物に学名(生物に与えられる世界共通の呼び名のこと)を付けて初めて新種として認められますが、幕末の日本で発見された多くの動植物も、新種として学名が付けられました。
春から初夏に白い花を咲かせるシロバナハンショウヅルという植物は、ペリー艦隊によって下田で採集されたことから学名に「ペリー」の名が付いているほか、幻の魚といわれる北海道のイトウには、通訳であった「ウィリアムズ」の名が付けられています。
また、後に来航したロシアのプチャーチン艦隊通訳で、初代駐日ロシア領事にもなったゴシケビッチと妻エリザは、日本の昆虫を多く採集し、春によく見られるサトキマダラヒカゲという小さな蝶の学名には彼の名前が残っています。
■「シモダマイマイ」って何?
下田駅から市街地へ向かう「マイマイ通り」や、文化会館の愛称「マイマイホール」など、市内では「マイマイ」という語をよく見ます。
「マイマイ」とはカタツムリの別称ですが、これはペリー艦隊が下田で採集したことから名付けられた「シモダマイマイ」に由来しています。現在はミスジマイマイというカタツムリの仲間として分類されることが多いですが、下田にゆかりある生き物として特筆すべきものです。
身近な動植物にも様々な歴史があります。皆さんも「マイマイ」のようにのんびりと下田の自然を観察してみてはいかがでしょうか。
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