毎年11月3日に田京の広瀬神社で開催される広瀬神社例大祭は、約1,200年前から続くといわれる伝統の祭りです。祭典では、神社周辺の5つの区で山車(だし)を引き回し、しゃぎりを奏でます。宗光寺区は、広瀬神社から最も遠く、他の区より長い距離、山車を引き回します。職人が無垢材で組み上げた山車は相当な重量があるため、運行にあたっては多くの区民による引き手の力と共に、二重三重の安全対策が必要です。
宗光寺区祭典運営委員会の矢田(やた)晶盛(あきもり)さんは、「数年前に山車と子どもが接触する事故があり、以降、二度と同じ事故が起こらないよう安全対策には細心の注意を払っています。役員や区民全員が、安全で楽しく盛大な祭典を心掛けています」。
矢田さんは付け加えます。「お祭りは、年に一度、自分が地域の一員であることを再確認する大切な日。先人から引き継いだ伝統を、子どもたちに継承していってもらうためにも、続けていきたい」。
祭典は、老若男女全ての力を結集する機会なのです。
▽宗光寺(そうこうじ)区
公民館:宗光寺69-2
住民数:393人(令和6年9月1日住民登録)
世帯数:168世帯
国道136号の南條区と守木区に挟まれた、一級河川宗光寺川流域の中規模区。史跡・宗光寺横穴群(7~8世紀の横穴墓)がある。狩野川と宗光寺川の合流部には宗光寺排水機場がある。
源頼朝の時代から伝わるともいわれる伝統芸能『しゃぎり』。太鼓や摺鉦(すりがね)、笛が奏でるリズムに、誰もがお祭りを思い起こし、心躍らせます。
四日町しゃぎり保存会(小池(こいけ)成治(せいじ)会長)は、現在18人でしゃぎりの伝統を継承しています。かつて青年団が担っていたしゃぎりの歴史は一度途絶え、38年前に、青年団出身者が保存会を立ち上げました。
練習は3月~11月の間、月2回行っていて、八坂神社例大祭での披露が一大イベントです。例大祭前には、四日町区の小学生約20人にしゃぎりを教えます。小池会長たちは、「コロナ禍前は、幼稚園や保育園、高齢者施設でもしゃぎりを披露していた。ぜひ再開したい」と伝統継承に意欲を燃やします。
最大の課題は、後継者の確保です。「参加したい人なら、地区外でも大歓迎。子どもたちは大きくなるとしゃぎりをやめ、市外へ出てしまう。でもいつかしゃぎりのリズムを思い出し、ふるさとに戻ってきてほしい」。保存会メンバーは、その日を夢見つつ、今日も太鼓を叩きます。
▽四日町(よっかまち)区
公民館:四日町652-2
住民数:3,142人(令和6年9月1日住民登録)
世帯数:1,354世帯
韮山駅がある地域。旧町時代から宅地分譲が多く、定住者が増えていった。東に韮山時代劇場や臼井国際産業(株)、マックスバリュ韮山店、韮山小学校があり、西に国道136号や洞川の四日町排水機場がある。
■もしも自治会がなかったら…
自治会は、地域の祭典やイベントを通じて住民同士の絆を深める役割を担っています。これらがなくなると、地域のつながりが失われ、孤立した生活が増えるおそれがあります。顔や人柄を知ることができる祭典やイベントがなくなると、近所の人が歩いていても誰か分からない、知らない人にはあいさつしないという状況が生まれるかもしれません。
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