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文化財通信 その230

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静岡県伊豆の国市

■三養荘
三養荘は、市内古奈温泉に所在する旅館です。敷地内にある本館は、国の有形文化財として登録されています。昭和4年に、岩崎久彌(ひさや)の別邸として建てられました。建築主の岩崎久彌は、旧三菱財閥の創始者である岩崎弥太郎(やたろう)の長男であり、三菱合資会社の社長を勤めた人物です。「三養荘」という名称は、岩崎家の別邸当時から呼ばれていた名称をそのまま継承しています。
三養荘には、約3000坪の広大な日本庭園があります。京都の庭師である小川治兵衛(じへえ)が手掛けたもので、京風の造作となっています。この庭園内の北西側に、本館は所在します。本館は、数寄屋(すきや)造りの建造物群から構成されます。中央棟、居間・書斎棟、客間棟、玄関・茶室棟、御幸(みゆき)の間の5棟が廊下でつながり、庭に待合(まちあい)、露地門(ろじもん)が配置されています。その多くは久彌が別邸として使用した時代に建てられたものですが、御幸の間は、静岡国体への昭和天皇・皇后両陛下の行幸に合わせて、昭和32年に増築されました。
床面積の広い本館ですが、低層で屋根のボリュームを抑えた分棟形式とすることで、外観からは大きさを感じにくい作りとなっています。そのため、庭と建物がよく調和し、優れた景観を生み出しています。また、分棟とすることで、室内への良好な採光と通気を確保しています。
現在、三養荘は岩崎家の手を離れ、昭和22年より、旅館「三養荘」として西武グループによって営業・利用されています。改修を重ね、活用されながらも建設当時の姿を残す本館は、後世に残すべき、大切な文化財です。

庭園内は宿泊者のみ見学可能です。詳しくはHPをご確認ください。

問合せ:文化財課
【電話】055-948-1428

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