■讃う(たたう)しなやかな地域社会
▽人生で、何らかの接点を持つ人は30,000人
うち、親しい会話ができる人は300人(男女)
総人口120,000,000人÷150=1/800,000人 夫婦になる可能性がある人と出会える確率
※出会いの確率…「一生のうち接点を持つ人数=3万人」との説を基に算出
▽痛みと向き合う責任
保険が適用された今、不妊治療はもう家庭ではなく「公共」の課題だ。例えば、子どもの減少により育児サービスが低下すれば、子育て世代の転出や企業進出の停滞にまで波及するかもしれない。不妊の影響は、社会全体の自分事といえる。
加えて、「産む・産まない」ことは選択できたとしても、「産める・産めない」ことは自らの意思を超えている。だから社会には、それぞれの痛みを受け止める責任もある。
▽時代に合う環境設定
「当たり前」ではない、妊娠と出産。生殖の知識は、世代や性別に関わらず、備えておくべき基礎データだ。人間の能力であるにも関わらず、生殖を文化的・社会的タブーとして設定することは、思考をフリーズさせる。
不妊を話し合い労(ねぎら)い合うという価値観を持ち、常識を更新する。時代に合った個々の環境設定が、求められている。
▽個から個への想像力
「産む」を巡る物語は、十人十色。不妊の当事者だけでなく、特別養子縁組の選択、流産や死産による喪失、LGBTQカップルの願いなど、このまちにも多様な想いが存在するはずだ。
生まれてきた誰もが、ありのままで満たされるべき存在。生きづらさに思いを馳せる「個から個への想像力」が、地域の居心地を醸し出す。当事者は、きっと目の前にいる。課題への関心から、可視化は始まる。
▽讃えられるべき二人
不妊は、その人の一部であって、全部ではない。そして妊娠・出産が、全てのカップルにとっての、唯一のゴールではないはずだ。二人が出会い結ばれる確率は、それだけで奇跡に等しい。
それでも不妊と向き合うのならば、職場で、地域で、みんなで、二人を讃えられないだろうか。まぶしい世界が未来に広がる、「しなやかな」まちであるためにも。
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