■知ろう 塩分の適量と含有量
多くの人が、自分の食事の塩分量がわからないのではないでしょうか。まずは普段食べるものに、どのくらい塩分が含まれているのか知ることが大切です。また食品には、栄養成分表示に食塩相当量の記載が義務付けられています。買い物の際は、意識してチェックし、塩分摂取量を把握しましょう。
手のかからない即席麺やレトルト食品などは、便利でおいしいですが、万人に受け入れられるような味付けになっています。中には、塩分が多い食品もあります。また、調味料にも多く含まれているため、普段から気を付けたいポイントです。
塩分が多いものを食べていけないわけではなく、1日または一週間の食事でバランスを考えて、食べ過ぎないことが大切です。
○一日の食塩摂取目標量 日本人の食事摂取基準(2020年版)
男性:7.5g未満
女性:6.5g未満
高血圧の人:6g未満
○一日の食塩摂取量の現状(県民20歳以上の平均値)
男性:10.8g
女性:9.2g
出典:令和4年県民健康基礎調査(速報値)
▼その食事の塩分知っていますか?
※容量・メーカーなどによって料理・食品の塩分量は異なります。
○料理 1人前
しょうゆラーメン 7.1g
きつねうどん 6.6g
カップラーメン 5.5g
かけうどん 4.9g
握り寿司 4.4g
かけそば 4.1g
カレーライス 3.3g
みそ汁(1杯) 1.7g
餃子(5個) 2.0g
梅干し(1個) 2.2g
コンビニおにぎり(1個) 1.4g
○調味料 大さじ1(15g)
顆粒だし 6.0g
薄口しょうゆ 3.0g
しょうゆ 2.6g
みそ 2.1g
減塩みそ 1.8g
ウスターソース 1.5g
減塩しょうゆ 1.2g
ポン酢しょうゆ 1.0g
とんかつソース 0.9g
和風ドレッシング 0.8g
ケチャップ 0.5g
出典:島田市「減塩保健指導用パンフレット」
■聞こう 医学的、栄養学的知見
▼体の仕組みを知って
しのざき消化器科・内科医院 院長
篠㟢真吾(しのざきしんご)医師
○なぜ減塩は必要なの?
減塩する第一の目的は、血圧を高くしないため。日本人は元来食塩摂取量が多く、寿命とも関係していることが分かっています。血圧が高いことによる、脳卒中など血管の病気が主な死因となっています。また、高血圧による慢性の腎臓病「腎硬化症(じんこうかしょう)」となり、人工透析が増えることにもつながっています。それらを減らすために減塩が有効なのです。
塩分を摂ると、本能的に人間の体は水が欲しくなります。体に入った塩分と水分は、すぐには尿として排出されず、半日から一日ほど時間がかかります。その間、体内にたまりひどい場合は「むくみ」となります。塩分が体内にたまっている間、血圧も高くなり、塩分が多い状態が続くと、それらの悪循環につながります。また、塩分を多く摂っている人の方が、ある種の血圧の薬が効きにくいことが分かっています。薬を飲んでいる人はより一層、減塩した方が良いでしょう。
○何から始めればいいの?
まずは自宅で、血圧を測ってほしいですね。特に冬場は、朝の血圧が上がりがちなので、起床後15分以内に測ることをお勧めします。他には、有酸素運動をすることも大切です(※血圧が高い人は、主治医に相談の上、運動許可を得てください)。血圧が上がる要因は、ストレスや睡眠不足などもありますので、それらを見直すことも必要です。減塩は、早く始めるほど良く、子どもの頃から食育をすると、大人になってからも意識するようになると思います。
▼無意識を意識して
(株)食の学び舎(しゃ)くるみ 代表取締役
くるみキッチンプラス+ オーナー
中野(なかの)ヤスコ管理栄養士
(調理師・日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士)
○塩分摂取しやすい場面は?
刺し身を食べる時、しょうゆをどのくらい付けますか。両面に付ける、片面に付ける、端に少しだけ付けるなど、いろいろな人がいると思います。ほとんどの人が無意識にしている行為だと思いますが、そこを意識するだけで適塩ができます。日本人は、一日の食塩摂取の約7割を調味料から摂っているともいわれています。揚げ物にはソースをかけるなど、条件反射のようにやらないで、味をみながら調整できると良いですね。
また、塩分は目に見えないところに隠れています。例えば、ソーセージなどの加工品やちくわなどの練り製品、漬物や汁物にも多く含まれています。
○適塩のコツは?
減塩と聞くと薄味にしたり、おいしくないというイメージがありますが、適塩は日常の無意識を意識するだけで実施できます。付ける調味料を減らしたり、だしや香辛料を料理に使うことも効果的です。汁物は、3食食べると塩分の摂り過ぎだといわれますが、具だくさんにして、汁の量を減らせば適塩になります。日本人は、野菜の摂取量が一日70g(小鉢1皿程度)不足しているといわれています。野菜や海藻、きのこ類は、塩分を排出するカリウムや食物繊維が豊富なため、たくさん食べることも有効です。また、買い物の時に、栄養成分表示の塩分相当量をチェックする「クセ」を付けることも大切です。
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