染谷絹代(そめやきぬよ)市長が自ら、市政運営の方針を分かりやすくお伝えします。
今月のテーマ:地域の未来をつなぐ「にぎわい創出」持続可能なまちづくりへの挑戦
■にぎわいは地域のエネルギー
皆さんは「にぎわい創出」と聞いてどんなイメージを持たれますか。駅周辺に新しい店舗が増えて活気づくことを想像する人もおられるでしょうし、祭りやイベントにたくさんの人が集う情景を思い浮かべる人もおられるでしょう。
私は「にぎわい創出」とは、単に人々を集めること以上の意味を持ち、地域やコミュニティに新たな活気を吹き込むエネルギーを生み出すことだと考えます。地方自治体・住民・地域コミュニティ・民間企業・NPO・商工団体などが連携し、自分事として考え、本気になって取り組まなければそのエネルギーは生まれません。
■駅前の通行量と島田の現状
ところで、令和5年度に実施した調査によれば、日中の島田駅北口周辺5地点の歩行者・自転車通行量は1日あたり6,436人、車の通行量は中心市街地区域内4地点で1日あたり5万287台でした。また、JR島田駅の乗車人員は176万9,983人。主要な公共施設の年間利用者数は、地域交流センター歩歩路が6万827人、島田市民総合施設プラザおおるりが12万9,323人、島田図書館(貸出人数)が9万3,531人、こども館が8万5,384人となっています。「これらの数字を見ると、まちなかに多くの人が滞留しているように思えるが、実際に歩いている人の姿はまばらである。まちなかに人が訪れているにも関わらず、滞留しない理由をどのように捉えているか」と9月市議会定例会で質問を受けました。端的に言って、人は何かの「目的」をもって外出します。公共施設を利用された後に「中心市街地に滞留する次の目的」がないことが、まちなかに人通りが少ないことの理由であろうと答弁しました。特に、今夏のような酷暑では車で移動する人がほとんどで、まちなかを歩く姿はまれでした。島田駅周辺では、おび・りあ1階のユーコープ島田おびりあ店の撤退をはじめ小規模店舗を含めると、昨年同時期と比較して4店舗程度減少していることから「駅前に店舗を増やせないのか」「空き店舗の活用方法はないのか」とのご意見をいただいています。
■行政の支援とその効果
行政も手をこまねいているわけではなく、おび通りや島田駅周辺をはじめ公共空間の整備に投資してきた他、商業団体、経済団体と連携して土日に若者、あるいは高齢者、親子連れなどをターゲットに、イベントなどを開催して人が集まり交流が生まれる場を創出する仕掛けを講じてきました。また、中心市街地における総合的な店舗対策として、集客に意欲をもつ個店には「まちなか商店リニューアル助成事業補助金」、新たに創業を目指すチャレンジャーには「遊休不動産リノベーション応援事業補助金」などを用意して、やる気のある人たちに事業費の一部を助成しています。どちらも実績が上がっていて、昨年度末までに「まちなか商店リニューアル事業」は13件、「遊休不動産リノベ事業」では14店舗に活用いただきました。今年度に入ってからも3店舗が駅前中央通り周辺への進出を決めており、この他にも当該エリアへの出店に向けた相談を承っています。
■自分たちのまちをどうしたいのかを考える
言葉だけが独り歩きしてしまいがちな「にぎわい創出」ですが、自分のまちに欲しいにぎわいについて、もう一度深く掘り下げて考え、それぞれの立場でできることを話し合い、皆で動き出していくことが肝要です。島田商工会議所青年部からは市に対して「アーバンスポーツによるまちづくり」の提言をいただきました。他にも、まちなかの有志が、みんなで島田をどうしたいか、前向きに楽しく話すトークイベントを継続開催するという情報も入っています。こうした取り組みは、地域やコミュニティに新たな活気を生み出す呼び水となります。最後に、にぎわい創出のためのもう一つの鍵は、マーケティングと効果的な情報発信です。SNSやウェブサイトを利用した情報発信は、地域の魅力を広く伝えるために有効な手段あり、川根温泉や大井川鐵道などは、情報発信の効果で多くの集客とファンを得ています。にぎわい創出は、地域の可能性を引き出し、人々を結びつける強力な政策であり、単なる集客を超えた可能性のある取り組みであることをお伝えしたくて、今月のテーマといたしました。
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