文字サイズ
自治体の皆さまへ

市政羅針盤(らしんばん)

23/25

静岡県島田市

染谷絹代(そめやきぬよ)市長が自ら、市政運営の方針を分かりやすくお伝えします。
今月のテーマ:市内における外国人居住者10年で倍増

■市内における外国人居住者の現状
近年、島田市内でも、企業で働いたり、専門学校や日本語学校に通ったりする外国人を多く見かけるようになりました。昨年末時点で島田市内に居住する外国人は1,883人、外国人比率は1.97%(全国平均2.4%)となり、この10年間で倍増しています。国籍別ではベトナム、フィリピン、中国の順で多く、近年はベトナム・ネパール・インドネシア国籍の人が急増しています。また、居住地別では、初倉地区が最も多くなっています。日本人との婚姻などで永住している人もいれば、技能実習など就労資格で在留されている人や語学研修で居住している人もいます。
今月は、こうした現状を踏まえ、今後も増加が見込まれる外国人居住者との地域共生・多文化共生について、ご一緒に考えたいと思います。

■制度改正による外国人在留者の増加
まず、「多文化共生」とは、日本人も外国人も、地域の一員として共に認め合い、互いに力を合わせながら、住みやすい地域を創っていくことを意味します。
国は、2023年の入管法改正により、新しい在留資格「特定技能」をつくりました。この制度を創設したことで、日本国内において人手不足が深刻とされている特定産業分野では、一定の専門性・技能がある外国人を即戦力として受け入れることが可能になりました。また、これまでの「技能実習生」では、最長で5年しか日本に滞在できず、その後は必ず母国に帰らなければなりませんでしたが、「技能実習」から「特定技能」への移行が可能になったことで、母国に帰らず引き続き日本で働くことも可能になりました。政府は、国内の人手不足に対して、外国人材の受け入れを拡充することで対応していこうと、舵を切ったことを示しています。このような背景があり、地域社会においても外国人の方との接点が増える傾向にあるため、多文化共生の必要性も高まっているのです。

■外国人との共生に向けた課題と期待
県内では、外国人居住者が人口の1割に近い市町もあり、外国人との共生が待ったなしの行政課題となっています。当市においても、広報紙の多言語化、外国人のための日本語講座、外国人の児童を含む子どもの学習・生活支援事業(学習サポート事業しまだっ子)、当市で暮らす外国人への情報提供(ゴミ出しや地域のルール、避難訓練などへの参加呼びかけ)などを実施していますが、地域の方々からは、「ルールや慣習を知らずにトラブルが起きる」「治安が悪化する」などと、安全・安心な暮らしに不安を感じるという意見も聞こえてきます。
一方で、日本語が全く通じない外国人一家が一軒家を購入して住み始め、ご近所とうまくいっている事例もあります。最初は隣近所の人たちも言葉が通じず困ったそうですが、同じ地域に住む外国人永住者が「自治会とは何か」「ゴミ出しのルールは」「子供会とは」等々、丁寧に説明し、その一家も地域に溶け込む努力をしてくれて、自治会加入となり、川ざらいなどへも積極的に参加してもらっていると聞きました。
私自身も30数年前に、夫の仕事の関係でインドネシアのジャワ島に計7年間暮らした経験があります。言葉の壁はもちろんですが、イスラム教徒が9割を占める国ですから、仕事中でも一日5回の礼拝を欠かさないことや、日が昇っている間は一切の飲食を断つ「断食月」があること、アルコール類や豚肉が禁じられているだけでなく、イスラム法の手順に則(のっと)って食肉処理をした肉(ハラル・ミート)でなければ食することができないことなど、生活習慣や文化の違いにずいぶん戸惑いました。属する社会の中で「少数派」として暮らすことは、大変な苦労を伴うものです。

■互いの理解が新たな可能性を生む
外国人が増えると治安が心配という声も耳にしますが、日本の文化や生活習慣に馴染むために懸命に努力し、地域住民と交流の場を持ちたいと望んでいる居住者がほとんどだということを、皆さんに知っていただきたいです。外国人と接する機会が多い市民からは「不安に思うことはない」「新しい考えや文化がもたらされる」との意見が多かったです。
深刻化している人手不足の解消のみならず、人口減少と高齢化が進む地域社会の担い手としても、外国人居住者との共生が求められる時代になってきています。

問合せ:秘書課
【電話】36-7117

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU