■里親の想い 吉川家
◇市の里親先導者
吉川さんは、看護師として長く勤務したのち、夫の両親の引越しや孫の誕生を契機にパートタイマーに転向。同時に、3人の実子が自立したことで、里親になることを決めた。
「もともと子どもは何人いても良いと思っていました。里親になって初めて、普通では考えられない様々な環境で育ってきた子がいることを知りました」
吉川さんは、里親になり15年目を迎えた。これまでお迎えしてきた子どもは男子2人、女子1人の計3人。2人目の受託の際に、より高度な専門里親の資格を修得したほか、令和4年には市内で初めてショートステイ(9ページ)で子どもを受け入れた。
「今一緒に暮らすゆうまは、ショートステイ経験後に、正式に受け入れました。そのため、お互いにとってスムーズに生活し始めることができました」
実子3人を育て上げ、さらに3人の里親となった吉川さんは、親への支援も必要だと訴える。
「子どもが親元に帰る場合に、関係が再構築できる家庭になるよう、子育てが難しい親への支援が大切です」
「困った時、過去には市の臨床心理士にも相談し、子どもの心の受け止め方を学びました。また、養育していた子が県のサッカー代表に選ばれたことは一番の思い出です」
大変なことも多いが、家族として紡ぐ思い出が増えていくことが尊いことだと語る。
「里親が育む安心・安全な生活環境を必要とする子どもがいます。子育ては、毎日の積み重ねで忍耐力や体力も大切ですが、何よりも嬉しいことは成長を一緒に喜べることです」
笑顔で語ってくれた。
《吉川さん》養育里親・専門里親お迎えしてい
る子ども:ゆうまさん(仮名・小学1年生)
■里親の想い 勝間田家
◇家族に愛され 地域に愛され
勝間田さんは、義母、夫、今は養子となったあみさんとの4人暮らし。里親になる前から現在まで、夫婦で正社員として働いている。
「里親に登録してからわずか1週間程で、児童相談所から受け入れ打診の連絡をもらいました。家族全員の賛成で我が家に来て、相性が良かったのか、家族はもちろん、親戚に至るまで全ての人に愛されています。里親になってみて、困ることは本当にありません。主人の面倒を見るのが一番大変かも(笑)」
夫の意外な一面がわかったのも、あみさんがきっかけ。
「保育園のお遊戯会での出来事です。産んで育てたわけではないので、割と平常心でいられると思っていましたが、すごく感動したことを覚えています。主人も涙を流しており、子どもに対してこのような感情を抱く人であることを初めて知りました」
勝間田さんは続ける。
「里親というと固く考えがちですが、思ったよりも大変ではありません。『子どもが好き』ということが根底にあれば、夫婦同様、血のつながりも関係ありません。子どもがいると家庭内の会話や雰囲気も変わってきます。うちは、明るくなりました。家族中でゲラゲラ笑い合っています。近所の人たちも温かく声をかけてくれます。今ではあみの方から皆さんにあいさつしています」
勝間田家には、もう1人大切な家族がいた。今年亡くなった義父だ。あみさんとは家に来た時から相思相愛で、お互いの存在が生活の支え、心の支えになっていたという。
「家族にしてくれてありがとう」
小学3年生にして読んだ弔辞は涙で言葉にならなかったが、大好きな祖父にはその想いがしっかり届いたはずだ。
《勝間田さん》
養子縁組里親
お迎えしている子ども:あみさん(仮名・小学3年生)
■Q & A お2人に聞きました!
○里親登録をするにあたり、難しかったことはありますか?また、ご家族の理解や応援はありましたか?
・吉川さん…難しかった点は特にありません。
・勝間田さん…家族はすぐ理解してくれて、応援してくれたり助けたりしてくれました。難しかった点は特にありません。子育てが出来るか少し不安はありましたが、楽しみなことの方が多かったです。
○支給される諸手当は、十分な金額だと感じますか?
・吉川さん…生活費が不足することがないように生活しています。里親手当は労働の対価ではないので使い方を吟味し、あくまでボランティアであると考えています。
・勝間田さん…十分です。
○里親として困ったことが発生した場合、どのような相手に相談していますか?
・吉川さん…児童相談所のケースワーカーや、児童家庭支援センターです。
・勝間田さん…市外で里親の集まりがあった時に話を聞いてもらっています。
○里親委託に向けて、どのような準備をしていましたか?
・吉川さん…里親サロンや里親研修に参加しました。
・勝間田さん…特に準備はしていません。決定してから少しずつ準備しました。
○里親として子どもを受け入れることについて、ご家族にどのような話をしましたか?
・吉川さん…実子は自立していたので、お預かりすることが決まってから紹介しました。
・勝間田さん…家族の協力や理解がないと受け入れが出来ないことなどをしっかり説明して、理解してもらいました。
問合せ:子育て支援課
【電話】82-4124
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