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富士山世界文化遺産登録10周年記念特集 VOL.5 共に生きる(1)

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静岡県御殿場市

■御殿場市の鳥って?
多様な自然環境を持つ富士山では、たくさんの生き物の姿を見ることが出来ます。
例えば鳥類は、国内で確認されている約600種類の4分の1に当たる約150種類が記録され、そのうち約100種類は周辺で繁殖をしているとされています。
昭和43年に「市の鳥」に制定された鳥がクロツグミです。市役所の封筒にも、この鳥が印刷されています。以前は御殿場駅周辺でも鳴き声が聞こえたというエピソードもありますが、今では目にすることが難しい鳥になっています。
今回の特集では、富士山を取り巻く自然を、生き物と人の共生という視点を中心に紹介します。クロツグミなどの多くの生き物と人がいつまでも共に暮らしていけるよう、考えてみませんか。

◇クロツグミ(本紙3ページ:オス 本紙2ページ:メス)全長22センチほど
4月から5月にかけて、南方から富士山麓に渡来する夏鳥です。人家の近くの比較的低い林の中にすみ、非常に美しい声で鳴きます。
クロツグミ写真提供:日本野鳥の会東富士/特定非営利活動法人富士山ホシガラスの会 菅常雄(すがつねお)さん

●数字で知る 富士山の基礎知識
◇-4.9
-4.9℃。令和5年の富士山の年間平均気温です。市内の観測点は14.4℃で、19.3℃もの差がありました。

◇91.0
秒速91.0メートル。富士山の最大瞬間風速です※。昭和41年9月に観測され、いまだに日本記録です。

◇338
338センチメートル。富士山の最深積雪です※。平成元年4月に観測されました。

出典:気象庁ホームページ
※現在は観測を実施していません

■現状はいかに
富士山の生態系と市内の現状を紹介

◇1 独自の生態系
富士山は、日本一の標高であることや、他の山々と連なっていない独立峰であることなどにより、独自の生態系を持っています。また、同じ高山である日本アルプスなどに比べ、比較的新しい山であることから、他の山でよく見られる高山植物や昆虫の中には、富士山ではほとんど見られない種類がいることも特徴の1つです。

◇2 哺乳類の宝庫
富士山には、国内で確認されているうちの約3分の1に当たる約40種類の哺乳類が生息しています。
中には、市街地ではなかなか見ることの出来ない国の特別天然記念物のニホンカモシカや、ツキノワグマ、ニホンリスなども生息しています。
哺乳類をはじめとする富士山の生き物たちの中には、もともと山麓に生息していましたが、開発などで富士山に集まってきた種類もいるといわれています。

◇3 市街地の野生動物からわかること
市街地で今目撃されている野生動物(哺乳類)をまとめると、もともと富士山麓にいる種類の他、以前より生息が確認されてきた外来生物のハクビシンに加え、最近では特定外来生物※のアライグマの目撃が目立ちはじめています。
富士山特有の生態系を守るためには、生息地である自然環境を維持していくことはもちろん、生態系を乱す可能性のある動物への対策も必要です。
※環境省の主導のもと、外来生物の中で、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼす(可能性含む)と指定された生き物です。輸入、放出、飼養などが厳しく制限されています。

◇4 農作物への被害
豊かな自然が多様性を生み、たくさんの生き物が生息している中、市内ではシカやイノシシ、ハクビシンなどにより、米や芋などの農作物への被害も発生しています。
令和4年度の農作物の被害総額は約520万円で、令和3年度の約510万円から微増しました。捕獲頭数ではイノシシは減ったものの、シカは増えるなど、山野にはこれらの動物が未だに多く生息していると想定されています。
生き物と人との共生という点では、考えなければならない課題の1つです。

◇5 共生に向けて
野生動物による被害を防ぐため、猟友会の中から市が任命した10人の「鳥獣被害対策実施隊」の皆さんが、日々様々な対策を行っています。パトロール、農家に対する被害防止対策の指導・助言などの他、箱ワナやくくりワナで対象の動物を捕獲しています※。
野生動物の適正な個体数を維持していくことは、多様な生態系を守ると同時に、人間社会を守ることにもなり、両者の共生につながります。
※法律などの規定に基づき、なるべく生体を傷つけない方法で捕獲しています。なお、許可を受けた人以外の捕獲行為は禁止されています。

●市に目撃などの情報が寄せられた代表的な野生動物(令和2年以降・哺乳類のみ)
・アナグマ
・アライグマ
・イタチ
・イノシシ
・キツネ
・シカ
・タヌキ
・テン
・ニホンザル
・ノウサギ
・ハクビシン
・ムササビ
*50音順

●鳥獣被害対策実施隊員から
農家の人にとって、農作物への被害は死活問題です。また、道路や住宅地に動物が現れると、住んでいる人たちにとっても危険です。日々そのような課題に向き合い活動しています。
最近では女性の隊員を増員するなど、より被害に遭った人の心に寄り添いやすい体制作りを行なっています。
対策は実施隊や行政だけでは十分に行えません。各農家や地域でも、侵入を防ぐ電気柵を設置したり、収穫物の残りや生ごみを適切に管理したりするなどの対策が必要です。また、ワナを設置した際は、捕獲のためのエサの交換や見回りなどをお願いすることがあります。ご協力をお願いします。

◇実施隊の中心メンバーとして熱心に活動しています!
勝間田孝一さん(隊長)
池田瑠美さん
大池信也さん
猟友会のメンバーを募集中です!
女性隊員も活躍しています!

鳥獣被害対策実施隊についての問い合わせ:農林整備課
【電話】82-4629

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