今から約300年前に起きた、「宝永の噴火」と呼ばれる富士山噴火は、周辺地域に甚大な被害をもたらしました。
宝永の噴火を最後に、富士山は静寂を保ち続けていますが、現在も生きた活火山です。
いずれまた起きるであろう噴火による被害を最小限にするため、市は新たな御殿場市富士山火山避難計画(以下、避難計画)を策定しました。
「いつ起きるかわからない」噴火に対し、「いつ起きても大丈夫」な体制をつくるためにも、市民一人ひとりが避難計画への理解を深め、しっかりと備えていくことが必要です。
ここでは、避難計画の概要と、私たちが取り組むべき備えについて紹介します。
【1】富士山火山避難計画とは
市の地形・道路・行政区などの地域特性を踏まえ策定した独自の避難計画です。
これまでは、噴火が予想される場合は、出来る限り遠方へ避難するというのが基本的な考え方でした。
しかし、全市民が同時に車での避難をしようとすると、深刻な交通渋滞が発生し、救急車などの救援車両が現場へ急行できなかったり、避難行動要支援者※1などが逃げ遅れたりしてしまうことが懸念されていました。
このため、避難計画では、市内の安全な場所への徒歩避難を原則※2とすることで、交通渋滞を緩和し「逃げ遅れゼロ」を目指すものとしています。
※1徒歩避難が難しく、助けを借りながら車での避難が必要な人。市内に約3,000人在住。
※2避難の規模によっては市外の場合も有り。
【2】ポイントは「分水嶺(ぶんすいれい)」
難計画を理解する上で重要なポイントとなるのが、「分水嶺」です。
分水嶺とは、雨水などが流れる方向の境界となる嶺(みね)で、市内のほぼ中央を走っています。
溶岩流も雨水と同じように、分水嶺を境に流下パターンが変わっていきます。
【3】火口の場所で変わる避難行動
分水嶺と噴火口の位置関係によって、溶岩の流下パターンが変化します。
避難計画では、火口から流れる溶岩流のパターンごとに最適な避難行動を定めました。
どの避難行動も、「溶岩の流下パターンを特定し、避難する必要がある市民の数を可能な限り少なくする」ことを念頭に置いています。
【4】噴火口の予想位置図
※詳しくは広報紙P.3をご覧ください。
【5】避難行動パターン
《パターンA》溶岩は小山町方面へ
分水嶺より北側の住民は、分水嶺をまたぐように裾野方面へ避難
《パターンB》溶岩は裾野市・小山町方面へ
溶岩流が流れてこない安全なデルタ地域(後述)や市外へ避難
《パターンC》溶岩は裾野市方面へ
分水嶺より南側の住民は、分水嶺をまたぐように小山町方面へ避難
問合せ:危機管理課
【電話】82-4370
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