■市が行っている実証事業
◆事例1 市の実証事業 ソフトテニスの合同練習
部活動の地域移行に向けた実証事業として、令和5年12月から令和6年1月まで、大岡中(男子と女子)と第五中(男子)のソフトテニス部の合同練習を行いました。
今回の実証事業は、部活動における休日の活動に顧問が帯同せず、各競技団体から派遣された指導者たちが指導する内容です。
沼津ソフトテニス協会を通じて派遣された岡本さんは、学生時代にソフトテニスの経験があり、今は会社員として働いています。生徒たちにサーブやスマッシュを丁寧に教えていた岡本さんは「部活動がどんな形になっても、子供たちにソフトテニスができる場を残していきたい」と話します。
また、協会の理事長を務める村中さんも指導に加わり、中学生になってテニスを始めた生徒に、ラケットの持ち方や基本となるフォームを指導していました。
子供たちは「技術が優れている人から指導を受けることができて嬉しいし、他の学校の人と友達になれて楽しいです!」と話してくれました。
村中さんは「子供の頃に幅広くスポーツを経験してもらい、その中でソフトテニスを好きになってもらえたら嬉しい」と話していました。
■部活動の新しい形
◆事例1 保護者参加型のソフトボール
中学生を対象としたソフトボールクラブ「静岡ふじっぴーず」が令和5年4月に活動を開始しました。
ソフトボール部がない中学校に進学する子供たちのため、浮島地区で小学生のソフトボールチームを運営している竹口さんの尽力で設立されました。監督は、指導者歴約40年の山本さん。竹口さんの「子供たちがソフトボールを続けられるよう、みんなで盛り上げていきたい」という想いに応え、就任を快諾してくれたそうです。
週の練習日は平日夜に2回、休日昼に1回で、原中や門池中など市内の学校に通う15人の生徒たちが、浮島中学校で活動しています。合言葉に「目配り、気配り、心配り」を掲げ、常に気持ちよく練習ができるように心掛けているそうです。
ふじっぴーずの特徴は、ノックや守備のコーチといった練習のサポートを保護者が担っていることで、保護者からは「子供と一緒のスポーツができて嬉しいし、話をするきっかけにもなっています」という声が聞かれました。
監督の山本さんは「子供たちのためにのびのびとソフトボールを楽しむ環境をつくること、将来を見越して指導者を育成していくこと、どちらも必要なことですね」と話してくれました。
◆事例2 沼津市全体に吹奏楽の楽しさを
部活動の地域移行を見据えて、市内の吹奏楽文化を地域で支えていこうと令和4年8月に市内中学校の吹奏楽部員を対象とした吹奏楽団「沼津ブラス・フィールド」が発足しました。運営するのは、市内で活動する社会人の吹奏楽団で、中学校教員として吹奏楽部の指導経験のある栗原さんが中心になって活動しています。
栗原さんは「市内の中学校の吹奏楽部員が減少しており、学校によっては新入部員が2人しかいないという状況もあります。演奏したい子供たちがのびのび活動できるよう、学校の枠にとらわれない吹奏楽団をつくりました」と話します。
沼津ブラス・フィールドは現在市内の10校から集まった19人の生徒が月に2回、千本プラザや市民文化センターで活動をしています。その内の1回は社会人の吹奏楽団員が指導する楽器ごとのパート練習、もう1回は栗原さんが指導・指揮をする合奏練習です。
練習会場では、和気あいあいと音楽の話で盛り上がっていましたが、練習場所が少ないことや、楽器の持ち運びが大変なこと、保護者の協力が必要になることなど、課題があるそうです。
吹奏楽の裾野を広げるためにも、吹奏楽部員に限らず、楽器に興味がある子供たちを対象に活動したいという栗原さん。「ブラス・フィールドだけでなく、地域ごとに活動団体があれば、多くの生徒が音楽を楽しめるのではないかと考えています。市内の様々な地区で吹奏楽団が集まって、イベントで合同演奏ができたら、より多くの人に吹奏楽の楽しさが広がり、市全体の活性化につながると思っています」と語ってくれました。
○現役ブラス・フィールドの団員に聞きました!
静浦小中一貫学校8年生 中田 実祐さん
私の学校の吹奏楽部は3人ですが、ブラス・フィールドで大人数で合奏できて、吹奏楽の楽しさを改めて実感することができました。
片浜中学校2年生 市川 朱音さん
同じパートでキレイな音色を出している人から直接アドバイスをもらえるのでもっと上手になりたいと思います。
■未来ある子供たちのために
今回の特集では、部活動の地域移行の概要と市が進めている取組について紹介しました。
すでに全国の自治体では、競技団体、民間クラブ、現役・退職教員、保護者会、地域コミュニティ、企業、大学などが様々な形で活動を支える地域移行の試みが始まっています。
市内でも地域移行を見据えて取り組む団体も増えてきましたが、まだまだ十分ではないのが現状です。
沼津市の部活動の地域移行については、手探りのことがたくさんありますが、議論の中心にいるのは、常に子供たちです。市では、子供の活動を守り、スポーツや芸術・文化活動を楽しむ機会が減ってしまうことがないように、環境を整えることが大切だと考えています。
地域移行がスムーズに進み、引き続き子供たちがいきいきと沼津で暮らし、学び続けていくことができるよう、行政や学校だけでなく、市民一人ひとりが考えることが重要です。
未来ある子供たちのために、部活動が持つ意義を継承・発展させた沼津らしい新たな活動環境を実現させていきましょう。
問合せ:教育企画課
【電話】055・934・4821
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