■第1回 景観
近年、人口減少や生活様式の変化などを背景に、地域の貴重な文化財や祭りなどが失われつつあります。市では、有形・無形の文化財をまちづくりに生かし、地域社会総がかりで文化財を継承していく一環として、文化財保存活用地域計画を作成します。6人の文化財保護審議委員が、身近な文化財を紹介します。
◆東海道の屈指の景勝地
湖西市には、未だ文化財として指定されていない重要な名勝・史跡・建造物などが数多くあります。その代表的なものの一つが東海道の潮見坂です。
東海道を西から来れば、潮見坂は初めて太平洋と富士山を眺めることができる東海道の中でも屈指の景勝地であり、古来多くの紀行文や詩歌に詠まれてきました。明治天皇も京都から東京へ行く途中、潮見坂上で休まれたことはよく知られています。江戸時代には東海道交通だけでなく海上交通も発達しましたが、遠州灘沖は海上交通の難所でした。そこで潮見坂途中の潮見観音に六角造りの灯明堂が設けられ、遠州灘を航行する廻船の航路標識としていました。しかしその実態を知る人は多くはありません。
◆津波被害の歴史を伝える
宝永4年(1707)の大地震・津波は、特に市の南部に壊滅的な被害をもたらしました。その結果、潮見坂下にあった白須賀宿は坂上に、新居宿や関所も西方の現在地に総移転しました。潮見坂は、宝永地震による被災の象徴的な場所として語り継いでいきたい場所です。
潮見坂は単なる景勝地というだけではなく、複合的な要素を含む重要な史跡でもあります。ただしその道筋の歴史的な変遷には確証がもてず、江戸時代の灯明堂の場所も特定できていません。
重要な地であっても、未指定の文化財は身近にたくさんあります。(渡辺和敏)
市内の文化財を紹介した冊子は市ウェブサイトで紹介しています。
問い合わせ先:文化観光課
【電話】053‒576‒1140
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