■地域医療を支える泌尿器科を目指して
▼当院で10年ぶりに腎移植を再開
今年度、当院では10年ぶりとなる腎移植を昨年8月と12月に2件実施しました。現在、県内では、当院を含め3つの医療機関のみが腎移植に対応しています。
当院の泌尿器科長・松本(まつもと)医師が、腎移植の豊富な経験を有しており、周到な準備を重ねてきました。実際の移植手術に際しては、東京大学病院泌尿器科と腎臓・内分泌内科からの応援を得て、万全の体制で臨むことができました。
○腎移植とは
腎移植とは腎臓の機能が低下し、体内の余分な水分や尿毒素を体外に排泄することができなくなった人のために、新しい腎臓を手術で移植することによって腎臓の機能を回復させる治療法です。
○腎移植のメリット
腎機能が低下した場合の治療法には、透析療法と腎移植があります。透析療法には大きく分けて血液透析と腹膜透析がありますが、いずれも時間的制約が大きいことと腎臓の一部分の役割しか果たさないことが問題になっています。一方、腎移植を行うと、失われた腎臓の機能はほぼ完全に回復し、時間に縛られることもありませんし、食事も自由に食べられます。
▼当院の泌尿器科の特徴
○泌尿器科とは
腎、尿管、膀胱(ぼうこう)、前立腺、尿道、精巣、副腎といった尿路・内分泌臓器に発症する、悪性腫瘍、尿路結石、排尿障害、尿路・性器感染症、慢性腎臓病などの疾患に対して、手術療法をはじめ、がん診断、薬物療法、透析療法などの診療を担当しています。
○充実した診療体制
・当院の泌尿器科は常勤医師6名、非常勤医師2名の体制で、そのうち日本泌尿器科学会認定の指導医は4名と志太榛原地域の中でも充実した施設の1つとなっています。
・前立腺がんや小径の腎がんに対して、2019年より「ダ・ヴィンチXi」を用いたロボット支援下手術を導入しており、累計の件数で200件を超えています。
・腎がん、腎盂(じんう)・尿管がん、副腎腫瘍に対して3Dカメラによる腹腔鏡を用いて、腹腔鏡技術認定医の資格を有する医師を配置し、より安全性の高い手術を実践しており、昨年度、当科の年間手術件数は1,000件を超えています。
○患者さんに優しい治療を
・排尿治療薬で効果の認められない前立腺肥大症に対して、止血効果に優れたレーザーによる前立腺蒸散手術(PVP)を行っています。
・腎・尿管結石に対して内視鏡によるレーザー砕石術や、外来での体外衝撃波結石破砕装置(ESWL)による治療により、すみやかな結石の除去に力を入れています。
○最適な治療法を選択
・慢性腎臓病に対して腎代替療法を行う際に必要となる、血液透析アクセス手術、腹膜透析カテーテル手術や腎移植手術などの各種治療に対応しています。
・排尿困難や尿失禁といった排尿トラブルに対して排尿機能を精密に分析するために、排尿機能検査士を配置し、尿流動態機能検査(ウロダイナミックスタディー)という診断や治療に有用な生理検査を行っています。
当院はさまざまな疾患へ対応が可能で、これからも地域に根ざして、より安全で患者様ご家族に安心を届けられる治療を目指して日々努力してまいります。
市立総合病院ホームページ泌尿器科紹介ページ
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問合せ:市立総合病院病院経営戦略課
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