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特集 今こそ災害に備える(1)

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静岡県菊川市

今年の元日、石川県能登地方を震源とする「令和6年能登半島地震」(以下、能登半島地震)が発生しました。石川県を中心に北陸全体が大きな被害に見舞われ、新年を迎えたばかりの日本列島に衝撃が走りました。発災から2カ月以上が経ちますが、未だ復興への道のりは険しいままです。今回の特集では、能登半島地震の被害から得られた教訓を基に、市民の皆さんに今こそしてほしい災害への備えを紹介します。

■元日の列島を襲った地震
1月1日午後4時10分、石川県能登地方を震源とする地震が発生。最大震度7、地震の規模を示すマグニチュードが7.6を記録した巨大地震により、新年を迎えたばかりの日本列島に大きな衝撃が走りました。死者241人、重傷者320人、全壊家屋7,804棟、半壊家屋1万2,799棟(2月29日現在)と甚大な被害をもたらしました。

■被災地への支援を継続
菊川市でも震度3を記録。幸いにも被害はありませんでしたが、広域的かつ大規模な地震である状況を踏まえ、市では元日から情報収集体制を立ち上げ、対応に当たりました。また、総務省消防庁長官からの派遣要請を受け、緊急消防援助隊静岡県大隊として、その日のうちに消防本部職員6名を被災地へ派遣しました。その後も、緊急消防援助隊の派遣を第7次(1月21日)まで継続したほか、水道の応急給水や避難所運営、家屋被害調査などのため、継続的に職員を現地に派遣し支援活動を行っています。
また、被災した人を対象に市営住宅(上本所団地)の貸し出しも行っています。

■広がる支援の輪
市では、1月4日から市役所本庁舎などに被災地支援の募金箱を設置しました。市民の皆さんから、温かいお気持ちが寄せられ、1月末時点での募金額は123万96円となりました。また、小学校や中学校で集めた募金を届けてくれた児童・生徒や、有志で募金活動を行った高校生や団体など、被災地を思う支援の輪が広がっています。

■災害への備えを再確認
発災直後に被災地へ派遣された職員の報告では、道路の崩落や土砂崩れなどにより、移動するだけでも困難を極めたそうです。また、1月1日に発生したということで、人の移動が多く、安否確認の正確な情報を得られないことで救助活動へも影響があったそうです。
能登半島地震を教訓に、支援物資が届くまでの間に必要なものを備える「自助」や、近所や地域の人同士の助け合いや、顔の見える関係づくりである「共助」など、改めて災害への備えを確認しましょう。

■被災地支援の現場から
2月5日、能登半島地震の被災地支援のために派遣された市職員の活動報告会が行われました。市長をはじめ幹部職員の前で、被災地での支援活動を報告。彼らの体験には、菊川市が学ぶべき教訓が多くありました。
○避難所運営支援
危機管理課 長尾耕介(こうすけ)主事
私が派遣された時点で発災から4週間が経過していたことから、避難所の運営は安定期に入っていました。ですが、避難している人の7割が高齢者であることから、炊き出しなどの当番が特定の人に偏りがちになっているなどの課題も見られました。届けられる物資も物によって過不足があったため、避難所のルールや決めごと、リーダーをあらかじめ決めておくことが必要だと感じました。

○人命救助
消防署 大林諭司(さとし)指揮係長
地元の人からの情報を頼りに、倒壊した家屋を一軒一軒回って安否確認と捜索活動を行いました。発災から間もない中だったので、使える道具が限られていたり、道路状況が悪かったりと非常に過酷な環境での活動となりました。地域の人同士で、何処にだれが住んでいるかを把握しておくことで、その後の救助にも役に立つのではと思います。

○家屋被害評価
税務課 松下祐樹(ゆうき)主事
住居に雪が積もっていて、被害状況がわかりにくかったり、倒壊など二次被害の危険性が高く家屋に近づけなかったりして、判定に苦慮する場面が多くありました。
一方で、石川県が専用のタブレット端末を派遣職員に貸与してくれたおかげで、スムーズに業務を進めることができました。このような有事の際の取り決めを、市や県と確認して備えておくことが必要であると感じました。

○応急給水支援
水道課 渡邊太吾(たいご)主査
道路の寸断などもあり、使用可能な水源が限られていたことから、給水車が1カ所に集中してしまうなど、業務の効率が悪くなってしまうことがありました。刻々と状況が変わるため、急に行き先が変更になることや、現地で指示を仰いで行動する場面も多くありました。
必要なルートの早期復旧や水が必要な場所の適確な把握ができるようになると、受け入れもスムーズになると感じました。

■interview
危機管理課 藤本啓一(けいいち)専門監
登半島地震の被害を見て、改めて道路の維持管理が必要だと感じました。応援隊や物資の受け入れ、住民の避難、どれも道路が無くてはできません。災害時はどうしても目先の災害対応に注力しがちですが、少なくとも3カ月先までのことを考えて業務を進めていく必要があると感じています。市としても発災後に国や県からの支援を受けるための「受援体制」を整えていくため、やるべきことは多いと痛感しています。どういった業務が必要で、人員は何人必要なのか把握し、他自治体の応援職員が来てもいいようにマニュアルを整備することなど、課題を確実にクリアしていきます。
地震が起きたときに、まずは生命を守ることが第一。そのために市民の皆さんにお願いしたいことは、住宅の耐震化です。行政の補助制度をぜひ活用してください。それと、少なくとも7日分の飲料水と食料、携帯トイレの備蓄もお願いします。
また、避難生活の負担を軽減するために、避難所の運営にも関心を持ってほしいです。運営訓練をすることで、何が必要なのか、どういうところを改善する必要があるのかが見えてきます。特に女性の意見や子育てをしている人の意見は役に立ちますので、幅広い年代・性別の人が運営に参加することに期待しています。

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