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自治体の皆さまへ

【特集】わたしと、認知症(2)

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静岡県藤枝市

■子どもも、大人も、認知症の人も。すべての人が自分らしくいられるように。
誰もが年をとり、また認知症になることもある。だからこそ、認知症になってからも安心して暮らしていけるようなまちづくりを進めていくことが求められています。そのためには、行政も、民間企業も、認知症の人も、そばで見守る専門家や家族も、そしてあなたの力も必要です。認知症の人にとって暮らしやすいまち、ひいてはすべての人にとって自分らしく、暮らしやすいまちにつなげていくため、それぞれの立場で取り組んでいます。

○認知症になったって、なにも変わらない
回収した給食の調理くずをたい肥として野菜を育てる事業では、認知症の方々が自然とふれあうきっかけになればと思い、一緒に農業体験をしてもらっています。
来てくれる方の中には私と同い年の人もいて、みんなでわいわい話しながら畑作業をするのは楽しいですよ。自分だっていつ認知症になるか分からないけれど、もしなっても別になにも変わらないんじゃないのかな。皆さんと話すことで認知症のイメージが変わったし、お互いに良い影響をもらえている気がします。
→従業員全員が「認知症サポーター養成講座」を受講し、「認知症の人に優しいお店・事業所」の認定を受けている。

(有)塚本興業 代表取締役
塚本貴生さん

○認知症だから分かること、それを伝えたい
私自身も、認知症になったら何もできなくなると思っていました。でも、自分が認知症になってみて、そうばかりではないと感じるようになりました。自分たちが特別なわけではなく、ちょっと人と違うだけなのかなと。「認知症」っていうと、どうしても他人事のように思ってしまうかもしれませんが、誰もがなりうる病気だと知ってほしいですね。自分がなったらどうする?という視点で考えてもらえたら。
そのためにも、当事者にしか分からない部分を伝えていきたいと思っています。
→自身も3年前に認知症と診断を受ける。現在は認知症への理解を深めてもらうため、「市民出前講座」の講師として、これまでの経験や思いなどを伝えている。

鈴木利一さん

○皆さんとともに、まちを変えていく
市が制定した条例の特徴は、大きく分けて2つあります。1つは、認知症の人や家族、関係者といった「当事者」を主人公に据えていること。もう1つは、医療・福祉といった専門領域にとどまらず、すべての市民と“ともに”まち全体が変わっていくことを目指していることです。
この条例は全国に先駆けて制定され、認知症の人にとってバリアフリーな生活環境は、すべての人にとっても生きやすいものであるとの先進的な考え方に基づいています。それに見合った条例運用ができるかが委員会に問われています。
→認知症の人や有識者、医療関係者、警察などで構成する委員会では、具体的な施策を盛り込んだ計画策定に向けて協議を進めていく。

藤枝市認知症とともに生きる共創のまちづくり委員会
山本崇記さん(静岡大学教授)

○本人も周りも、納得感をもてる支援を
市内7カ所にある地域包括支援センターでは、身近な相談窓口として、一人ひとりに合わせた支援をしています。
人生は意思決定の連続。誰もがなにかを選んだり、迷って決められなかったり、うまくいったり、失敗したりを繰り返しています。
そんな中で、認知症だから決める力がないと判断せず、本人に重大な影響がない限りは、尊重する姿勢でいたいと考えています。そうした1つ1つの積み重ねが、「認知症の人とともにつくるまちづくり」につながっていくと、私は信じています。
→認知症地域支援推進員として、認知症になっても住み慣れたまちで安心して暮らし続けられるよう、支援を行っている。

地域包括支援センターふじトピア
内村宣子さん

■「共創のまちづくり」を実現するために
地域包括ケア推進課橫山麻衣令和6年1月1日に認知症基本法が施行され、共生社会の実現に向けた取り組みが推進されています。市でも、認知症の人の声を聞きながら、4月1日に「藤枝市認知症とともに生きる共創のまちづくり条例」を施行しました。この条例は、子どもから大人まで世代や立場を超えて、一人ひとりの個性と力で共に創る―〝共創〞のまちづくりの実現を目指すものです。
これまでは「認知症になったら何もできなくなる」という考え方が先行しがちでした。ですが、認知症の人が自らの気づきや思いを発信してくださることで、それを聞いた人たちが認知症への理解を深めるきっかけとなり、「認知症になってからも自分らしく暮らすことができる」、そんな新しい考え方に変わりつつあるのではと感じています。
市ではこれからもそうした機会を創出し、認知症の人が安心して社会参加ができる環境の整備に努めていきたいと考えています。そして、さまざまな分野や立場の人と共に「共創のまちづくり」の実現を目指していきます。

■9月は「世界アルツハイマー月間」
○駅南図書館展示
認知症に関する図書を展示します。
日時:8月27日(火)〜9月29日(日)

○映画「オレンジ・ランプ」上映会andトーク!
日時:9月15日(日)午前9時30分〜正午
場所:生涯学習センター
申し込み:9月6日(金)までに、電話か申し込みフォームで地域包括ケア推進課へ

問合せ:地域包括ケア推進課
【電話】643・3225

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