■被後見人の人生に寄り添い 安心できる生活の手助けがしたい!
袋井市初の市民後見人 川村典司(のりじ)さん(上山梨)
「被後見人の方が、少しでも安心して暮らせるように手助けをしたいですね。生活上の手続きや金銭管理を代わりに行うのは大変な責任を伴うので、十分な自覚を持って対応しています」
そう語るのは、袋井市で初の市民後見人となった川村典司さん・68歳。市民後見人の養成講座を受講後、支援員として実践を積み、今年2月に家庭裁判所から、市民後見人として選任され、4月から市民後見人として活動しています。
◇定年退職を機に社会貢献したい
銀行員として長年勤務していた川村さんは、仕事の中で、認知症の方や障害を持った方が現金管理やそれに係る手続きなどで苦労している姿を見て「後見人がいれば、心配や苦労が軽減できるのでは?自身が後見人となり支援ができないか?」と考えましたが、後見人は、司法書士や行政書士など専門の業種しかなれないと思い、諦めていました。
そんな川村さんに転機が訪れたのは、6年前のこと。定年退職を前に、何か社会貢献できることをしたいと考えていたある日、広報ふくろいの記事で市民後見人制度を知り衝撃を受けたといいます。
「専門的な職種ではなく、一般の方でも後見人になれる『市民後見人制度』を初めて知りました。この制度を活用すれば、自身の経験を生かし、社会貢献できるのではと思いました」
川村さんは、市民後見人の養成講座への応募を決意しました。
◇養成講座・支援員経験を経て専任された「市民後見人」
そして、さっそく養成講座の受講を始めた川村さん。家庭裁判所の職員による講座や障がい者施設での実習を通じて、福祉に対する考え方が変ったといいます。
「福祉は一時的ではなく、継続するもの。その方が継続して安定的な生活を送れるよう、時には厳しい言葉もかけなければならないことを学びました」
養成講座を修了した川村さんは、法人後見支援員として2年間福祉の現場で経験を積みます。そして、今年2月、家庭裁判所から正式に市民後見人として専任されました。念願が叶った川村さんですが、その心境は複雑であったといいます。
「嬉しさもありましたが、改めて被後見人の人生にずっと寄り添う責任の重さを実感しました。生半可な気持ちではできないと改めて覚悟を決めました」
◇活動して分かる難しさとやりがい
晴れて今年4月から、市民後見人として、障害のある高齢者の金銭管理等の活動を開始した川村さん。やりがいを感じながらも最初はその難しさを実感したといいます。
「金銭管理だけではなく、被後見人とのコミュニケーションがとても重要ですが、相手の考えや感情を理解するのがとても難しいです」
そうした困難に直面しながらも、少しでも相手の考えを理解するため、傾聴を続け、相手のちょっとした言葉の変化を読み取るよう努めました。そうした努力が実を結び、今では、被後見人の考えが少しずつ分かるようになってきたといいます。
「相手の要求に応えられ、喜んでもらえたときは、とてもやりがいを感じます。経験を積んで、より多くの被後見人の方の力になれるよう頑張りたいですね」
68歳の川村さんの新たな挑戦は始まったばかり、今後の活躍が期待されます。
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